挑戦の手を緩めない。ノーザンファーム天栄の木実谷雄太場長(43)は「世界中のレースがターゲット。もちろん凱旋門賞はその中のひとつです。個人的にも乗り越えたい。会員さんに結果で恩返ししたいです」と話す。同牧場はスルーセブンシーズの馬主、キャロットファームの母体。その関東所属馬の拠点を束ねる場長として、遠征馬選定にも携わった。

19年、木実谷場長はフィエールマン、ブラストワンピースの凱旋門賞遠征に同行した。菊花賞&天皇賞・春連覇の長距離砲に、3歳有馬記念Vのパワー型。2頭は英ニューマーケットで調整を重ね、陣営と二人三脚で馬を仕上げたつもりだった。適性も見込んでいたはずが結果は11、12着。文字通り、打ちのめされた。

木実谷場長 これまでのキャリアの中でも最も自分の感触と結果とのギャップが大きかった。積み重ねだけど、同じような手順で進んでいったら駄目だと思っています。過去にそうそうたる馬が行っているわけですから

発想の転換-。今回はアプローチそのものを変えた。牧場内で共有されている調教履歴、データを洗い、仏シャンティイでリヨンの坂路を多く調整に使う12、13年2着の“オルフェーヴル式”も取り入れる調整を進言した。

スルーセブンシーズは渡仏直前の15日まで同牧場で検疫を兼ねた調整を行い、成田空港経由でフランス入りした。宝塚記念2着から臨む、日本馬悲願への道。「5歳になって使ってからの回復がすごく早くなりました。同じ状態に戻るのではなく、1回使うごとにさらに良くなるイメージ。馬も充実していて、今はいいサイクルの中にいます。最後の直線までリズム良く、こなせるような馬場で行けばはじける。そんな爆発力がある馬ですから」。歩み方は変わっても、頂点へ着実に近づいている実感がある。【松田直樹】

◆木実谷雄太(きみや・ゆうた)1980年(昭55)8月5日、東京都生まれ。国学院久我山高を卒業後、東京農工大へ進学。馬術部に所属する。03年4月にノーザンファームに就職し、ノーザンファーム空港に配属。同12月に山元トレーニングセンターへ。11年10月にノーザンファーム天栄に異動し、15年4月から場長に就任。趣味は野球観戦。