凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月4日=パリロンシャン)でアドマイヤテラ(牡5、友道)が初の海外遠征に挑む。連載「凱旋門賞ストーリーズ」2回目は、大阪・北新地でクラブを経営する近藤旬子オーナーが、夫の故・近藤利一氏への思い、縁の深い血統での挑戦に心の内を語った。【取材・構成=下村琴葉】
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覚悟を胸に、夢のレースに挑む。アドマイヤテラの凱旋門賞は、近藤旬子オーナーの思いが、ギュッとつまっている。24年菊花賞で3着に好走し、25年目黒記念で重賞初勝利。その頃から“夢舞台”への挑戦を意識していた。
「前から凱旋門賞は興味がありました。昨年の夏くらいから選択肢の中でいろいろ考えていたところがありまして。国内やメルボルンC、凱旋門賞。どこを使うにしても1回札幌記念を使おうと」
昨年はアドマイヤデイトナでUAEダービーを勝利し、ケンタッキーダービーにも挑戦。所有馬での海外遠征を考えた時に、真っ先に浮かんだのが凱旋門賞へのチャレンジだった。
「頭の中では一番の目標というか、夢のようなレースだったので、友道先生に打診をして、OKが出たので向かうことになりました」
相続馬主として馬主業を引き継ぎ、6年目となった。先代の大馬主、故・近藤利一氏は数々の名馬を所有。アドマイヤムーンは国内G1の2勝に加え、07年ドバイデューティーフリーを優勝。アドマイヤラクティでは14年コーフィールドCを勝利するなど、海を越えたチャレンジを続けた。今回は、その先代でも出走したことがないフランスの大レースに、歩を進める。
「先代の近藤利一は凱旋門賞は出走したことがないと聞いていました。先代も行きたかっただろうなと思います。アドマイヤムーンやアドマイヤラクティだったり、海外に出走させていたので、引き継いだ私も同じようにしたいと思っております」
大舞台へ進むアドマイヤテラとの出会いは21年2月7日。テラがノーザンファームで誕生した数日後に牧場へ会いに行った。母アドマイヤミヤビは利一氏の所有馬で17年クイーンCを勝利し、オークス3着。縁の深い母にぴったり寄り添うテラにすっかり心をつかまれた。
「先代が亡くなった時にミヤビを引き継ぎました。そういう思いとかもあります。その子どもがテラで、ずっと期待を込めていた子でした。配合もいろいろ考えて、皆さんにアドバイスをもらいました。ウインドインハーヘアの4×4の牝馬クロスで珍しい配合。そういう意味での思い出もあります」
“アドマイヤ”で念願の凱旋門賞へ。万感の思いがあふれ、涙が頬を伝った。
「無事に出走できて、けがなくというのが一番だと思っています。もちろん勝てばいいですが、なかなか厳しいレースだと思いますので。けど、楽しみながら当日を迎えられればいいなと思っています」
当日に向けて新調した、勝負服をイメージした水色の着物を身にまとって愛馬の凱旋を待つ。
◆近藤旬子(こんどう・じゅんこ) アドマイヤの冠で知られる大馬主、故・近藤利一氏の妻。合建株式会社の代表取締役会長だった利一氏が19年11月17日に逝去し、相続馬主となる。自身の名義での馬主資格は、20年7月に取得。同月19日、アドマイヤジャスタで函館記念を優勝し、重賞初制覇。24年12月の朝日杯FSアドマイヤズームでG1初制覇した。阪神馬主協会会員。大阪・北新地のPriv.Ayakaのオーナー・ママ。

