来月開幕する東京パラリンピックの水泳に出場予定だった米国代表のレベッカ・マイヤーズ(26)が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う規制のため介助者の同行が認められなかったことから出場を辞退したと米ワシントン・ポスト紙が報じた。

先天性の病で生まれた時から耳が聞こえず、生後間もなく目の病気で視力も完全に失ったマイヤーズは、2012年ロンドン大会で銀と銅メダルを獲得し、16年リオデジャネイロ大会では3つの金メダルと銀メダル1つを手にしている。

東京大会でも代表に選ばれていたが、東京への移動や五輪施設内での介助が必要なため母親とパーソナルアシスタントの同行を求めていたものの介助者の入国は認められないと伝えられたことで欠場することを代表チームに伝えたという。

マイヤーズの父親によると、米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は主催者と日本政府がコロナによる規制のために入国できる人数を厳密に制限しているため、個々の選手の介助者の同行は認められていないと説明していたというが、調べたところ実際にはUSOPCが同行者リストにマイヤーズの介助者を入れることを阻止していたと批判している。

USOPCは水泳代表チーム34人に対して1人の介助者を同行し、コーチ6人も必要な介助の手伝いをすると説明している。

マイヤーズは同紙の取材で、「東京に行きたかった。水泳は私に人としてのアイデンティティーを与えてくれました。出場できないことは私にとって非常に困難なことです。変化をもたらすためにも、(この問題を)伝える必要があると思いました」とコメント。「これはパラリンピックです。私たちはすべての人の障がいを祝うべきです。私たちは社会のバリアーを打ち破り、あらゆる可能性に挑んでいます。これが私たちの扱い方ですか? チームの厄介者のようにしますか?」と対応を批判している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)