【パリ28日=木下淳】21年東京五輪金メダルの阿部詩(24=パーク24)が、まさかの2回戦敗退で2連覇の夢がついえた。世界ランキング1位の第1シード、ケルディヨロワ(ウズベキスタン)と対戦。内股で2分14秒に幸先よく技ありを奪ったが、終盤3分4秒、谷落としで逆転の一本負けを食らった。準々決勝に進めなかったため敗者復活戦はなく、メダルなしが確定した。
背中から、たたきつけられた。ぼうぜんと座り込んで頭を抱え、信じられないように周囲を見渡す。畳を降りた直後は、平野幸秀コーチに倒れかかるようにして号泣。泣き崩れて、歩けなくなった。肩を借りて退場する際には、会場から「ウタ」コールが沸き起こった。場内には、泣き叫ぶ声が響き渡り、悲痛な雰囲気とった。
男子66キロ級の兄一二三(26=パーク24)が初戦の2回戦を迎える前段階で、日本史上初の「きょうだい2連覇」が消滅。取材エリアでは、日本オリンピック委員会(JOC)広報が「今すぐ取材を受けられる状態ではありません」と説明した。
関係者によると、衝撃の大きさから過呼吸を起こしており、周囲が懸命にサポートしている。その後、テレビ中継に、おにぎりを頬張る姿などが映し出され、安心させた。
なぜ、序盤から大一番になったのか。先月23日に五輪ランキングが確定。昨年10月の国際大会を欠場した影響もあって詩は9位となり、今大会の上位8人のシードに入らなかった。そのため抽選会で、世界ランク1位と2回戦で対戦する組み合わせになった。
「どこに入ってもいいのかなと。結局は勝たないと金メダルはないので」と本人は意に介していなかったが、落とし穴にはなった。
初戦は開始57秒で突破していた。長野県出身の出口ケリー(カナダ)と対戦。いきなり嫌な相手と当たったが、わずか57秒、大外刈りで退けた。この試合は、あのレフェリーが担当。前日の男子60キロ級で永山竜樹(28=SBC湘南美容クリニック)が絞め技で一本負けした際の「待て」を巡る動きが、不可解判定とされているエリザベス・ゴンサレス審判だったが、何も起きようのない一本勝ちだった。
不戦敗を除けば19年11月のグランドスラム大阪大会以来5年ぶりの黒星。無敵の女王として、今大会も金メダル候補の筆頭だった。昨年の世界選手権では2年連続4度目の優勝。東京五輪から無敗でパリの畳に立った。当時は準々決勝でブシャール(フランス)に大外刈りで一本勝ち。東京五輪の決勝で苦しめられた銀メダリストを振り切ると、準決勝も、東京五輪の女子48キロ級金メダリストで階級を上げてきたクラスニチ(コソボ)を、背負い投げからの寝技で合わせ一本と一蹴していた。
何より、その後の決勝で破っていたのが、今回の敗戦を喫したケルディヨロワだった。当時は崩れけさ固めで抑え込んで一本勝ちしていたが、今回は相手に軍配が上がった。
東京五輪の後、両肩の手術を受け「怖さがなくなった。不安より楽しみしかなかった」。21年の夏と現在を比べ、昨年時点で「120%」と進化していた。大会直前も「技術、心、体が3つ、そろってきている」と順調そうだったが、五輪には、魔物がすんでいた。
敗戦の40分後、兄の一二三が試合を迎えた。難しい精神状態となったが、技あり2本で突破。2連覇へ向かう。
何より、その後の決勝で破っていたのが、今回の敗戦を喫したケルディヨロワだった。当時は崩れけさ固めで抑え込んで一本勝ちしていたが、今回は相手に軍配が上がった。
東京五輪の後、両肩の手術を受け「怖さがなくなった。不安より楽しみしかなかった」。21年の夏と現在を比べ、昨年時点で「120%」と進化していた。大会直前も「技術、心、体が3つ、そろってきている」と順調そうだったが、五輪には、魔物がすんでいた。
敗戦の40分後、兄の一二三が試合を迎えた。難しい精神状態となったが、技あり2本で突破。2連覇へ向かう。



