【パリ=阿部健吾】女子53キロ級の藤波朱理(20=日体大)が金メダルをつかんだ。決勝でルシアジャミレス・ジェペスグスマン(エクアドル)を下して、公式連勝記録を137に伸ばし、頂点に駆け上がった。
第1ピリオド(P)から積極的に攻め、鋭い足取りからバックを取りポイントを重ねる。6-0とリードして迎えた第2Pも早々から追加点を奪い、3分31秒で10-0。テクニカルスペリオリティー勝ちを収めた。勝利を挙げると、二人三脚で歩む父の俊一コーチに抱きつき、喜びを爆発させた。
藤波は「もう最高、オリンピック最高、レスリング最高、やってきて良かったです」「4歳から父のもとでやってきてケンカすることも多かったですが、一番感謝したい」と言って満面の笑みを浮かべた。
3月にアクシデントに襲われた。練習中に左肘を脱臼して靱帯(じんたい)断裂の手術を行った。「瞬間っていうのは、肘の痛みも心の痛みも過去最大だった」としながら、地道なリハビリを続けて復活した。準決勝までの3試合を戦った7日には肘にサポーターを巻いたが、「けがをしてからサポーターをずっとつけて練習をしてきたので、痛み予防というよりお守りみたいな感覚。これが自分のいつも通り」と強調した。相手はその左腕を狙ってきているが、「対策もしてきた」と力強かった。
金メダルラッシュを期待された日本女子は、競技初日から68キロ級の尾崎、2連覇を目指した50キロ級の須崎が続けて頂点を逃した。代表最年少、藤波への重圧は大きいかと思われたが、「ここまで来たからには楽しみたい。絶対に勝ちたい」と緊張感より高揚感に満ちていた。
決勝で戦ったジェペスグスマンは、昨年の世界選手権でも対戦した。「本当に待ち望んでいた、引き寄せた相手だなって。去年勝ってはいるんですけど、悔しさも残る一戦で、彼女のことを思って私は今までやってきました。彼女にはありがとう、と感謝を伝えました」。ライバルの存在も糧にし、夢に見た五輪の舞台で頂点に立った。
◆藤波朱理(ふじなみ・あかり)2003年(平15)11月11日、三重県四日市市生まれ。1988年ソウル五輪の代表候補だった父俊一コーチの影響で4歳から競技を始める。中学2年の全国大会決勝で伊藤海に負けて以来、全勝。いなべ総合学園高から日体大に進んだ。総合格闘家の兄の勇飛も元選手で17年の世界選手権男子フリースタイル70キロ級銅メダル。164センチ。



