陸上競歩の小林快(27=新潟アルビレックスRC)が2日、新潟市内で取材に応じた。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、目指していた東京五輪は延期。その選考会を兼ねた日本選手権50キロ競歩(12日=石川・輪島)も3月31日に中止が決定した。そんな状況にもポジティブに心境を語った。

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小林は前向きだった。落胆もなかった。日本選手権50キロ競歩への意気込みを語るはずだったこの日、大会中止を受けて、「残念会見」になった。ところが笑顔を時折浮かべ、ショックの気配を見せなかった。上半身に身につけていたのは新潟アルビレックスRC(ランニングクラブ)の半袖Tシャツ。内面の熱さも証明した。「大会に向けて完成度は高かったと思うが、より100%に近づくための時間をもらった」とモチベーションは高かった。

東京五輪の延期に動揺はなかったという。「まだ代表権を獲得していない状況なのでショックはなかった」。50キロ競歩の代表3枠のうち、残り1枠を争う日本選手権50キロの中止も冷静に受け止めていた。「あり得るかなと思いながら練習していたので『わかりました』という感じ」と言う。

新型コロナウイルスの感染が拡大している状況だけに、五輪選考会の開催時期は未定。だからこそ小林は、この時期の練習が大切だと思っている。「コツコツと積み上げて力をつけていく練習をするだけ」と話す。大会が夏場の開催になれば暑さ対策を練り、涼しい時期ならスピード強化。17年世界選手権の銅メダリストは柔軟に大会に備える覚悟だった。

日常生活では手洗い、うがい、アルコール消毒に気を配っている。「マスクがないから、対人には距離を置いている」。アスリートは肉体疲労で抵抗力が低下するだけに細心の気配りだ。「みんなで力を合わせて、この現状を打破しなければならない」。小林は感染拡大阻止に配慮しながら、東京五輪50キロ競歩代表の最後の1枠へたどり着く決意だった。【涌井幹雄】

◆小林快(こばやし・かい)1993年(平5)2月28日、秋田県大館市生まれ。秋田工-早大。ビックカメラを経て、19年4月から新潟アルビレックスRC(ランニングクラブ)所属。16年全日本50キロ競歩高畠大会優勝、17年世界選手権3位など。165センチ、53キロ。