陸上男子100メートルで9秒97の日本記録を持つサニブラウン・ハキーム(21=米フロリダ大)が5月31日、オンラインで中高生とトークイベントを行い、現状を語った。

新型コロナウイルスの影響で、フロリダ大のトラックは使えない日々が続いていた。ようやく「月曜日にトラックが空いた」という。「2カ月ぶりぐらいにトラックで走った。芝生で走るよりも、やっぱりトラックはいいですね」と笑った。東京五輪が延期になった事は「もう1年時間をもらえた。ポジティブに考えれば、やれることも増える」。映像などで走りの研究を行うなど有効に使った。目標も「金メダル」とまったくぶれない。その先には「100、200メートルで世界記録を出したい」と見据える。

マネジメント会社「UDN SPORTS」の企画で、コロナ禍で大会が中止など影響を受ける中高生からの質問にも答えた。糧になるような言葉を並べた。

練習できない時期については「目標を持って、毎日頑張れば、どんな困難も乗り越えられる」。また好タイムを出す思考法を問われ、「出したい気持ちも大事だが、練習通りの走りをした方が出る。高校の時によくタイムに期待し、80メートルぐらいから電光掲示板を見たりして、全然出なかった苦い思い出もある。9秒台で走った時も、9秒で走るぞと思い、出したわけでなく、自分の可能性を信じて、やるべきことをやれば出ると思っていた」と話した。

負けたくない人には「同じ地域で練習している」のもあり、22歳のノア・ライルズ(米国)を挙げた。昨秋の世界選手権男子200メートル金メダリストだ。今、トップスプリンターになったのも自らの可能性を信じ、高い目標に向かってきたからこそ。その手本を示し続けていく。【上田悠太】