東京オリンピック(五輪)陸上女子5000メートル代表の田中希実(21=豊田自動織機TC)が今年初レースの1万メートルで優勝した。2度目の1万メートルで自己ベストの31分59秒89をマークして、5月3日の日本選手権(静岡・袋井市)の参加標準記録32分25秒を突破し、同選手権出場権を獲得した。

田中は、レースを引っ張っていた20年名古屋ウィメンズマラソン2位の安藤友香(26)を終盤の猛烈な追い上げで逆転。19年日本選手権以来2度目の1万メートルに「やっぱり何度走っても長いなと思いました」と笑いながら「一緒に走ってくれたベテランの方々のおかげです。(30分20秒44の日本記録保持者)新谷(仁美)さんにはまだまだ通用しませんが…」と謙虚に喜びを語った。

東京五輪へ、田中はすでに5000メートルの代表権を手にしているが、今回の日本選手権切符獲得で、1万メートル代表の挑戦権も手にしたことになる。4分5秒27の日本記録を持ち、最もこだわる1500メートルも五輪代表の参加標準記録にあと1秒07に迫っている。選択肢が1つ増え、五輪2種目出場が現実味を帯びてきた。【加藤裕一】