安倍晋三前首相(66)が日刊スポーツの単独インタビューに応じた。最終回の3回目は、あふれる「アーチェリー愛」を語り尽くす。1日に約8年ぶりに全日本アーチェリー連盟会長に復帰した。成蹊大時代に体育会アーチェリークラブに4年間所属しており、実体験を交えて競技を語ることのできる存在。会長復帰にあたり、OBや現役生からは期待の声も寄せられている。【聞き手=平山連、三須一紀、近藤由美子】

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安倍前首相が大学時代にアーチェリーに打ち込んでいたと知ったのは、担当記者になって間もないころ。約8年ぶりに全日本連盟会長に復帰。あまり語られてこなかったアーチェリーとのつながりを聞いてみたいと取材を申し込んだ。語られる競技愛は、学生時代と変わらないと思わせるほどだった。成蹊大時代を振り返るしぐさは、本当になつかしそうだった。「大学で運動部に入る人は野球にしろ、なんにしろ、だいたい経験者。ゼロからいくとハンディキャップになるので、みんながゼロからスタートする競技はないかと考えました」。

卒業後は弓具を手にすることはほとんどなくなったというが、「クラブ時代の絆というのは今でもそのまま続いてます」。この言葉を語った時に見せた感慨深い表情は、学生時代がいかに充実していたかを物語っているように思えた。目標に向けて体を鍛えたり、仲間と交流したり-。そこに、スポーツの意義を感じた。憲政史上最長の首相在任中も、生かされたのではないだろうか。会長として、アーチェリーとのつながりを積極的に発信してもらい、競技人口増へ貢献してほしい。等身大の姿で語られた言葉には、多くの人が共感するはずだ。【平山連】