峰竜太(38=佐賀)が、SGに帰ってくる。蒲郡ダービー(24~29日)に出場予定。多くのファンが首を長くして待っていただろう。峰自身はさまざまな葛藤と闘いながら、それを乗り越えて大舞台に復活する。

アロハポーズを決める峰竜太
アロハポーズを決める峰竜太

9月住之江G1高松宮記念で優勝した時のコメントが印象的だった。「あんなことがあって、また住之江さんに呼んでもらえて感謝しかない。起こってしまったことは取り戻せないが、少しずつ返していきたい。優勝することが罪滅ぼしだと思っている」とホッとして表情で語っていた。

「あんなこと」とは21年住之江SGグランプリ優勝戦だった。1枠の峰は瓜生正義の強ツケマイを浴びて転覆。後続の3艇も次々と転覆し峰は妨害失格を取られ3連単、3連複が不成立。発売額の96・2%に当たる史上ワーストの41億1426万3700円が返還となったことだ。レース直後の峰は「正直、死んだと思った」と青ざめた表情で振り返っていた。その後、さまざまな歯車が狂ってしまい、SG戦線からも遠ざかってしまった。

その経験がトラウマとなっていたのだろう。40億円以上を売り上げるスーパースターの重圧というのは想像を絶するものだということ。施行者やファンに迷惑をかけたという思いも「罪滅ぼし」という言葉になったのだろう。何も犯罪を犯したわけではない。転覆は、レースにつきものと言ってしまえば、それまでだが、人気を背負うトップ選手は、常に期待を裏切ることと隣り合わせ。その中で命懸けで走っている。

高松宮記念の優勝戦、嫌な記憶が脳裏をよぎっていた。数え切れないくらい逃げ切っているイン戦だが、手は震えた。極度の緊張と悪夢に打ち勝たないと、次の扉を開くことはできないと理解していた。「高松宮記念は、ただの記念の優勝ではなかった。ここで優勝できたことは大きい」とひとつ殻を破るができた。

「正直、報道陣からSGグランプリ出場の意欲を聞かれることが多かったが、来年(24年)に向けて頑張ると答えていた。でも、この優勝で今年(23年)目指すとはっきり言える。ダービーで24場制覇と通算100度目の優勝できたら最高ですね」と、明るくて前向きな峰らしいコメントも復活した。住之江の施行者も「峰選手には何度も来てほしい。売上額が本当に増える」とニンマリだ。

喜怒哀楽を全面に出して、ファンの想像を超える結果を出す。峰がスーパースターであることは間違いない。10月ダービーはもちろん、年末の住之江SGグランプリでの完全復活劇も期待している。【奈島宏樹】

住之江G1高松宮記念を制した峰竜太(左)が蒲郡SGダービーで24場制覇を狙う
住之江G1高松宮記念を制した峰竜太(左)が蒲郡SGダービーで24場制覇を狙う