2予6Rで深谷知広が逃げ切り、準決に勝ち上がった。初日特選も2周先行。10年ほど若返ったような走りだった。

前検日、久しぶりに深谷と長話をした。「もう(豊橋に)帰ってきてもええやろ」と言うと、「もう僕の使い道はないでしょ」と笑いながらこう続けた。「(陸上の)100メートル選手なら、もうとっくに引退してますよ」と言うので「100メートルじゃなくて良かったな」と返した。「回復力も遅くなったし、合宿で若手にやられることもある。そろそろ自分の限界を感じますよ…」としみじみ語った。

ヤマコウは深谷知広のパワフルな走りに注目する
ヤマコウは深谷知広のパワフルな走りに注目する

そのやりとりがあってのこの2日間。あれは自らを鼓舞する「フリ」だったのか、若手のように思い切りがいい走りだった。

初日特選は、今年タイトルを取った寺崎浩平や嘉永泰斗、巻き返しを狙う犬伏湧也が注目を集めていたが「俺を忘れたらあかんよ」と言わんばかりの快走を見せた。深谷の走りは信念がある。タイトルの数は少ないかもしれないが、まだ35歳。競輪の世界では若造だ。準決12Rは寺崎浩平-古性優作らがいて厳しい一戦となった。彼が引き出しの中から、どんな武器で戦うのか興味が湧く。(日刊スポーツ評論家)