5月にボートレース担当となって5カ月が過ぎた。これまではサッカーを中心にスポーツの取材を主に行ってきた。やはりプロは個性があってナンボの世界。取材していて、独特のこだわりを持つ選手に魅力を感じる。特に進入で少しでも内枠を狙うイン屋、ベテランになっても大外からのレースにこだわる選手に興味が湧く。

江口晃生(53=群馬)は「もう80歳だから、2コースより外では勝負にならないんだよ」とジョークを交えながらイン屋であり続ける理由を話した。

一方、大外での競走にこだわる代表格が阿波勝哉(45=東京)。かつてはSGにも出場したが、近年はB級に降格。12年に持ちペラ制が廃止されてから、極端な伸び型にできなくなったのが逆風となった。それでも大外から、時にはまくりも狙うレーススタイルが魅力的だ。「自分はずっとこれでやってきた」と強い信念を貫き続けている。

小川晃司(50=福岡)も6コースから展開を突くレーススタイルにこだわる。「まだ若手のころ、内のコースでやっていたときもありました。でも必要以上に気を使って、実力を発揮できなかった」と振り返る。その後、大外からのレースに切り替えるとすぐにA級へ昇格した。それ以来、6コースが主戦場だ。

小川晃司(撮影・奈島宏樹)
小川晃司(撮影・奈島宏樹)

小川は「ペラ調整も得意ではないので、阿波みたいに制度が変わった影響はない」と話していた。小川と阿波が同時に走ったときはどうなるのか聞くと「今までは阿波が空気を読んで、(6コースを)譲ってくれます」と感謝していた。

「もうインに入ることはないのか」という質問をぶつけると「現役を終えるまで、6コースを走り続けます」ときっぱり。展開を突くレースにこだわるのも個性の1つ。彼らの生き様を感じながら取材していきたいと思う。