日本代表の手倉森誠コーチ(50)が27日、メキシコでのパチューカMF本田圭佑(31)の視察を終え、成田空港に帰国した。

 欧州滞在中のバヒド・ハリルホジッチ監督の特命を受け20日に日本をたち、遠いメキシコへ。1人の選手のプレーを見るため、中南米までコーチが通訳を連れて足を運ぶのは異例といっていい。

 滞在中、本田が出場したのはリーグ1試合だけ。その24日レオン戦(ホーム)で、パチューカの背番号「02」は、ロスタイムに決勝PK。わざわざ日本からやって来たコーチを手ぶらで帰すことはせず、しっかり“お土産”を持たせた。

 今回の視察は、もちろんマリ、ウクライナと対戦する3月のベルギー遠征での代表復帰を左右する材料にはなる。そして、その先には、本田にとって3大会連続となるW杯メンバー入りもある。

 ただ、メンバー選考はハリルホジッチ監督の専権事項。もちろん、信頼を寄せられている手倉森コーチの報告は最重視するはずだが、決めるのは指揮官。監督経験も豊富な手倉森コーチは、自身の立場や影響も考慮し、慎重に言葉を選んで取材に応じた。

 ただ、そこはサッカー人。現場に立ち続ける指導者。本田と膝をつき合わせて話し、通じ合うものもあったようだ。「サッカー人、本田圭佑がどうなっていきたいかというところまでの深い話もできた。良かった」と熱く語った。

 あまり知られていないパチューカでの本田の日常にも触れてきた。練習から自主トレーニングまでを念入りにチェック。「未開の地で、いろんな出来事にも適応しようとし、苦労を買って出ていると感じた」。

 たった1試合、レオン戦のパフォーマンス、目に見える決勝PKといったものより、手倉森コーチが持ち帰った“土産”は「(代表に)呼んでもらいたい、そのためにやるしかないというものが感じられたから、良かった」。つまり、本田の日本代表への変わらぬ思い。それが何よりの、メキシコ土産だったのではないだろうか。

 果たして、この土産を、頑固な指揮官が気に入るかどうか。

 1つの答えは、3月のベルギー遠征のメンバー発表、3月中旬に出る。【八反誠】