勝負の分かれ目となった同点の後半20分、FW久保建英(17=横浜)がキッカーを務めた。約25メートルの地点で得たFKは、直接決めるにはギリギリの距離だったが、久保は迷わずに左足で狙った。「誰かが決めなきゃ勝ち越せない。FKになった時、これはチャンスだなと思った」。久保の左足から生まれた弾道は、壁をギリギリに越えると、カーブがかかり、相手GKの手を擦り抜けるようにゴール左上へ吸い込まれた。「狙ったコースに行った」と、試合後の久保は冷静な口調で振り返ったが、得点後の久保は両手を激しく振ってガッツポーズを見せ、日本代表ベンチへ喜びを表現した。

この試合、日本が前半で2点をリードしながら、前半36分、41分と立て続けに失点。非常にイヤなムードで迎えたハーフタイムを終えると、久保は1人だけ、主審よりも早くピッチに姿を見せ、チームを鼓舞するように後半へのやる気をみなぎらせた。

久保は前半8分のMF斉藤光毅(17=横浜FCユース)の先制点につながる決定的なスルーパスを送っており、勝利の原動力となっていた。試合後の久保は「単なる勝ち点3じゃない。非常に安堵しています。次に向けてまた対策を取り、勝ち点3を取ってグループリーグ突破を決めたい」とコメント。ピッチ上での判断の速さをほうふつとさせるキレのあるコメントで、にこりともせずに感想を言葉にまとめた。

日本は22日にタイ戦、25日にイラク戦を控える。各組上位2位が決勝トーナメントに進み、ベスト4がU-20W杯ポーランド大会(5月)の出場権を獲得する。