<U-17W杯:日本1-2スウェーデン>◇決勝トーナメント1回戦◇28日◇シャルジャ

 若き日本代表が散った。U-17(17歳以下)日本代表は決勝トーナメント1回戦でスウェーデンと対戦し敗れた。1次リーグは圧倒的なボール支配率を誇り3戦3勝で首位突破したものの、この日は高さとパワーが持ち味のスウェーデンの前に前半に2失点。後半11分にオウンゴールで1点を返し、その後も圧倒的に攻めたが同点ゴールを奪えず。日本史上最高のベスト4という目標だけでなく、前回11年メキシコ大会と93年日本大会のベスト8にも届かなかった。

 これが一発勝負の怖さなのか…。1次リーグを圧倒的な成績で突破した日本が、あっさりと敗れた。ぼうぜんとする選手たちを背に、吉武監督は「非常に残念です。4試合しかできなかった。選手は5試合、6試合と続くことを願っていたが」と悔しそうに話した。

 現実は厳しかった。自慢の高い技術とパス回しでボール支配率はこの日も75%-25%と圧倒。終盤はほとんどボールを保持して攻め立てた。ただ、平均身長181・4センチの体格を誇るスウェーデンの堅い守りを最後まで崩せず。同点ゴールだけが遠かった。

 一瞬のスキを突かれた。前半11分、カウンターのロングボールから左サイドを破られて先制点を献上。同36分には再びカウンターからFWハルバジッチのシュートをGK白岡がまさかのファンブル。そこを詰められて痛恨の追加点を奪われた。攻撃陣も後半にオウンゴールから1点を返すことしかできなかった。

 前回大会に出場し、8強に進出した94年生まれ中心の「94ジャパン」を超えることを目標として結成された96年生まれ中心の今回の「96ジャパン」。吉武監督の「96ジャパンの展覧会にしよう。4強に進んで7試合やろう」という合言葉通り、選手は1次リーグ3試合で目まぐるしくメンバーを変えながら勝ち上がり、日本史上最高の4強進出を期待させる勢いを示した。

 元数学教師でプロ経験のない吉武監督は独自の指導法で選手を育てた。自己啓発の映画を見せれば感想文を、有名歌手の曲を聴かせて将来の自分のイメージを書かせた。人間的な成長も望む指導を続けたのは、全ては「大事なのは10年後」と選手の将来を見据えたからだった。

 後半から投入されたFW杉本が抜群のキープ力とパスセンスを発揮し、流れをつかんだが、細かいパスワークを最後の最後でスウェーデンの激しい当たりや長い足に阻止された。吉武監督は「堅い守りを崩せなかった。ゴール前を固められると崩すのは難しい。そこでじれずに得点できなくても失点しないことを学ばないといけない」と振り返った。確かにそのパスサッカーは世界にインパクトは残した。だが、結果だけは残酷だった。