ジュビロ磐田が、ホームで鮮やかな逆転勝利を飾った。後半3分、神戸に先制されたが、同6分にはFW川又堅碁(27)が、2013年シーズン以来の2桁ゴールとなる今季10点目で同点。同34分には、MF松浦拓弥(28)のFK弾で勝ち越した。試合前、MF中村俊輔(39)が体調不良で急きょ欠場したが、チームの総合力で勝利をつかんだ。勝ち点は42。「J1残留ライン」とされる40を早くも突破した。

 ホームで2戦ぶりの白星を狙った磐田が、キックオフ前にピンチを迎えた。試合前、中村俊の欠場が決まった。2時間前に発表されたメンバー表では先発に名を連ねていたが、午後5時半過ぎに変更された。クラブ関係者は「体調不良」と説明。ここ4試合で1得点4アシストと絶好調だった司令塔の名前が外れた。

 チームの真価が問われた一戦で、名波浩監督(44)はMF上田康太(31)をダブルボランチの一角として起用。同位置を務めるMF川辺駿(21)をトップ下、背中痛を抱える左MF宮崎智彦(30)の代役としてDF小川大貴(25)を先発のピッチに送った。

 0-0の前半24分、MFアダイウトン(26)が右足ループで狙った。ゴール直前で相手DFが手でかき出していたが、ハンドとは判定されなかった。同35分には上田のFKからFW川又堅碁(27)が放ったヘディングシュートも、わずかに枠を外れた。それでも、選手は果敢に神戸ゴールへ迫った。ボール支配率は57%。前半だけで10本のシュートを放った。

 後半3分には元ドイツ代表FWポドルスキ(32)のゴールで先制された。主導権を握りながらも、結果がかみ合わない。そんな雰囲気をチームNO・1の“元気印”川又が払拭(ふっしょく)した。同6分、川辺のスルーパスから左足で同点弾。今季10点目の2戦連発で試合を振り出しに戻すと、同34分には途中出場の松浦が、中村俊をほうふつとさせる直接FKをゴール右上に突き刺した。

 試合前から何度も訪れた窮地を全員で乗り越え、今季3度目の逆転劇を完結させた。7月8日甲府戦以来となるホーム白星で、対神戸の公式戦連敗も4でストップ。順位は6位のままだが、勝ち点はJ1が18チーム制となった2005年以降ではクラブ最多の「42」まで伸びた。チームは確実に成長している。【前田和哉】