A組で2連覇を目指す川崎フロンターレの大卒五輪世代コンビがプロデビュー戦で結果を残した。

FW旗手怜央(22=順大)は後半17分から出場し1アシスト。同41分から途中出場のMF三笘薫(22=筑波大)はチームの5点目を演出した。東京オリンピック(五輪)の最終メンバーは年齢制限外、3人まで招集できるオーバーエージも含め18人。招集が不透明な面もあるが、海外組には実力者が多い。21日のリーグ開幕を前に、早くも、国内組のサバイバルの幕が開いた。

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旗手の心は「勝負」の一択だった。新システム4-3-3の右FWで途中からピッチに立った12分後の後半29分、ペナルティーエリアの右。立ちはだかった相手を縦に仕掛けて一瞬で置き去りにし、ファーで待つFW長谷川の頭に合わせた。失点直後の嫌な流れを振り払うゴールを、果敢な攻めでお膳立て。「(プロ)デビュー戦でアシストできたのはすごくうれしいけど、得点を早く決めれば気持ち的にも楽になる」と言葉とは裏腹に冷静だった。

屈辱の3試合に、向上心をかき立てられている。1月のU-23アジア選手権(タイ)は全試合に出場しながら2敗1分けで、まさかの1次リーグ敗退。「自分自身、一番恥ずかしい大会。代表は結果を求められる。力のなさを感じた」。世界と勝負するにはレベルアップが必要と痛感した。

東京五輪出場に「現状では無理」と自ら黄信号をともすのは、高みを目指す志の裏返し。「川崎Fで結果を残せば、少なくても可能性はあると思う。チームが勝つために自分のプレーを出すことがやるべきこと」。雑念を振り払って目の前に集中する積み重ねが、視察した日本代表斉藤コーチへのアピールにもつながった。

大卒同期のMF三笘も積極的に「勝負」した。試合終了間際、左サイドでドリブルを仕掛けて攻め上がり、FW小林の2点目を演出。それでも「これからが勝負」と結んだ。J奪還とルヴァン杯連覇が命題の川崎Fでしのぎを削った先にこそ、真夏の大勝負の舞台が見えてくる。【浜本卓也】

○…4-3-3の新システムに手応えを深めた。厚みを加えた攻撃陣が活性化し5得点。前線から積極的にボールを奪って攻撃に転じる場面も目立った。鬼木監督は「ゴール前に人が入っていけるようになっているのは去年と違うかなと思っているが、まだ試行錯誤の段階。点を取ろうと掲げている中で、ゴールへの意識はより強くなっている」と評価した。