浦和レッズが、17年以来5年ぶりのアジア制覇へ王手をかけた。

2-2から突入した全北(韓国)とのPK戦を制し、準優勝した19年以来の決勝進出を決めた。延長後半終了間際の土壇場に、FWキャスパー・ユンカー(28)が同点ゴール。PK戦では主将のGK西川周作(36)が2連続で止める神セーブを見せ、赤いサポーターの大声援に劇的な勝利で応えた。ACL決勝は来年2月19日と26日に、ホームアンドアウェー方式で西地区を勝ち上がったチームと対戦する。

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劇的な結末の興奮が冷めない埼玉スタジアム。ピッチに並んだ選手たちの中へ、西川はロドリゲス監督を呼び込んだ。指揮官にスタッフも、駆け足で加わり肩を組む。サポーターの「We are Diamonds」の大合唱を聞きながら、全員で勝利の余韻に浸った。

西川は「仲間が120分戦って、あきらめない姿勢を見せてくれた。ここに来てくれた人たちと喜びを分かち合えて良かった」。1点ビハインドの延長後半15分にFWユンカーが劇的な同点ゴール。勝利を信じ続ける姿が、チームを救うゴールにつながった。

最後はやはり、頼れる主将だった。2時間で決着はつかず、もつれこんだPK戦。西川は相手の1人目のシュートを完全に読み切り、がっちりとキャッチした。浦和DFショルツが決め、相手の2人目。今度は伸ばした右足で止めた。勝敗が決すると、ゴール裏のサポーターへ、何度もこぶしを振り上げた。「PK戦久しぶりでしたけど、楽しかった。みんなの笑顔を見られたことが全て」。

リーグ戦でなかなか勝利を積み上げられず、迎えた4月のACL1次リーグ。西川は仲間とともに過ごす時間を大切にした。毎日のお昼過ぎ。ホテルの周りを散歩する時間を、貴重なコミュニケーションの場にした。息抜きだった卓球も仲を深めるツール。勝利を重ねながら、ピッチの外でも結束力を高めた。

17年アジア制覇の歓喜と、19年準優勝の悔しさ。どちらも知るのは、チームで西川ただ1人だけ。「リベンジする場所に帰れた。勝ってファン、サポーターと喜ぶイメージができています」。この日の浦和のゴール裏には、優勝トロフィーを模したコレオグラフィー(人文字)が作られていた。3年前に忘れてきたものを、みんなで取り戻しにいく。【磯綾乃】

▽浦和ロドリゲス監督 チームは素晴らしいプレーをした。PK戦では全員が自信を持ってやれたと思う。キッカー、それから西川周作。自信を持ってプレーしていた。