ワールドカップ(W杯)ロシア大会の公式球「テルスター18」をスポーツ・バイオメカニクス分野の専門に研究する筑波大の浅井武教授(61)が分析した。「巧打者」に優位という一面が浮かび上がった。

 テルスター18の開発に携わったアディダス社のホルガー・クレッチマー氏は「バランスと安定性に優れている」と特徴を解説する。白黒の懐古的なデザインが特徴的。ただ、6枚のパネルの形状は複雑化し、8つの突起のある奇妙な形が印象的で、同氏は「これが最も安定性のある軌道につながる」と、13代目の公式球に自信を示している。

<W杯歴代の公式球(公式球採用の70年以降)>

◆70年 メキシコ大会

 名前:テルスター

 特徴:時代のスターという意味を込め

◆74年 西ドイツ大会

 名前:テルスター

 特徴:前回大会からマイナーチェンジ

◆78年 アルゼンチン大会

 名前:タンゴ

 特徴:開催地舞踏音楽タンゴイメージ

◆82年 スペイン大会

 名前:タンゴ・エスパーニャ

 特徴:天然革素材に革新的密閉縫い目

◆86年 メキシコ大会

 名前:アステカ

 特徴:W杯初人工皮革で耐久性アップ

◆90年 イタリア大会

 名前:エトルスコ・ユニコ

 特徴:ポリウレタン使用し耐水性向上

◆94年 米国大会

 名前:クエストラ

 特徴:スピード速め、感触よりソフト

◆98年 フランス大会

 名前:トリコロール

 特徴:赤青白の色はフランス国旗から

◆02年 日韓大会

 名前:フィーバーノヴァ

 特徴:世界中の熱気と「新星」を表現

◆06年 ドイツ大会

 名前:+チームガイスト

 特徴:球体に近付けた14枚パネル構造

◆10年 南アフリカ大会

 名前:ジャブラニ

 特徴:パネル8枚表面ツルツル。ブレ球になりやすい

◆14年 ブラジル大会

 名前:ブラズーカ

 特徴:パネル6枚で表面凹凸。パネル形状は曲線的。スピードが出やすく安定性高い

◆18年 ロシア大会

 名前:テルスター18

 特徴:ブラズーカと大きな変わりはなくパネルも同じ6枚だが、形状が直線的。そのため、風がパネル間の溝を通る時に分散されにくく、不規則な動きをする時も