スペインではバケーション期間真っ只中の8月11日、23-24年シーズンのスペインリーグが開幕した。

サッカーが一番人気のスポーツであるスペインにおいても、夏のスタジアムは大入りとならないことが多い。その原因として、アボノ(シーズンチケット)会員が夏休みを満喫中であるためだ。スペイン人にとっての7~8月は1年で一番楽しみな時期であり、多くのサポーターが長期休暇で地元を離れている。

今季は全20クラブ合計で53万人以上がシーズンチケットを手にしているとの統計が出ている。特に人気クラブともなるとその限られた枠は全て埋まっており“キャンセル待ち”状態が何年も続いている。クラブによってはアボノ会員の家族に空いた枠が優先的に割り当てられるシステムになっており、親子何代にも渡ってシーズンチケットで毎試合スタジアムに足を運んでくれる長年のサポーターたちは、クラブにとって重要な存在である。

スペインではシーズンチケットを購入できると、毎試合かなり割安な価格で観戦することができる。例えば、久保建英を擁するレアル・ソシエダードは今季、スペインリーグのホームゲーム19試合のシーズンチケットを240ユーロ(約3万8400円)~675ユーロ(約10万8000円)で販売している。今季1試合ごとの最低価格が25ユーロ(約4000円※ビッグクラブとの対戦やバスクダービー除く)であることと比較した場合、シーズンチケットホルダーは1試合を半額近い13ユーロ(約2080円)ほどで楽しむことができる計算となる。

Rソシエダードはその他、年代ごとに細かく割引料金を設定しているため、0~6歳、7~14歳、15~25歳、26~29歳、そして65歳以上のシーズンチケットホルダーは、さらに安い価格で気軽に観戦できる仕組みになっている。

また、ホームスタジアムであるレアレ・アレーナの収容人数が4万人であるのに対し、今季のアボノ会員は3万7854人と、全体の約95%を占めている。当然のことながら今季10シーズンぶりに欧州チャンピオンズリーグ出場を決めたクラブのシーズンチケットを求める人は多く、現在キャンセル待ちリストに3000人以上が登録しているため、非常に入手困難なものとなっている。

そして今季、最もシーズンチケットホルダーが多いクラブはレアル・マドリードで6万707人、次いでアトレチコ・マドリードが5万8000人となっている。昨季の王者バルセロナは現在、スペイン最大の収容人数を誇るカンプ・ノウが全面改修工事中で、その代わりとして今季開幕から来季途中までエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスを使用するため、本来8万5000人程いるシーズンチケットホルダーがわずか1万7064人しかいない状態になっている。予想されていたこととはいえ、シーズンチケットはクラブ運営において大きな収入源のひとつであるため、財政難のバルセロナにとって相当な痛手となることだろう。

各クラブの一番安い座席のシーズンチケット価格を比べると、グラナダが最安の175ユーロ(約2万8000円)、最も高く設定しているのはカディスで450ユーロ(約7万2000円)。新規での購入はほぼ不可能だが、バルセロナは255ユーロ(約4万800円)、Rマドリードは266ユーロ(約4万2560円)、Aマドリードは270ユーロ(約4万3200円)と、それぞれ手頃な価格となっている。

一方、一番高額な座席で比べてみると、最高値はRマドリードの2307ユーロ(約36万9120円)。これにラス・パルマスが1950ユーロ(約31万2000円)、ビリャレアルが1700ユーロ(約27万2000円)で続き、最安値はヘタフェの515ユーロ(約8万2400円)である。また、バルセロナは870ユーロ(約13万9200円)、Aマドリードは1360ユーロ(約21万7600円)となっている。

Rソシエダードを例に挙げても、シーズンチケットを手に入れるのが困難であることが分かるが、実際、今季のスペインリーグ20クラブでは平均すると昨季のシーズンチケットホルダーの約90%がその権利を更新したとのこと。そのため間もなくスタジアムには夏休みを終え、浅黒く焼けた昨季と変わらない面々が集い、サッカーを心から楽しむ大勢のサポーターたちの姿を見ることができる日常が戻ってくる。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)