陸上男子100メートルの山県亮太(26=セイコー)が再び日本人2人目となる9秒台に100分の2秒迫った。決勝で10秒01(速報値)の好タイムを(向かい風0メートル)出して優勝した。日本人初の9秒台の記録を持つ桐生祥秀(22=日本生命)が10秒22で2位に入った。

昨年9月の全日本実業団対抗選手権、銅メダルを獲得した今年8月のジャカルタ・アジア大会と2度の10秒00を出していた。

アジア大会の男子100メートル決勝のレース後。世界選手権で2度の決勝進出経験があり、9秒92で優勝した蘇炳添(中国)との距離感について「案外近くに感じられた」と口にしていた。9秒台目前の好タイム連発でその実力の進化を証明した。

昨年は悔しいシーズンを過ごした。日本選手権は6位に沈み、世界選手権(ロンドン)の代表権を逃した。それだけでない。目指していた日本人初の9秒台のスプリンターの座も、当時東洋大4年の桐生祥秀(22=日本生命)に奪われた。当時はショックで押しつぶされたが、目標を「日本記録を更新する」と上方修正し、自らを保った。そして今季は日本選手権で5年ぶり2度目となる優勝。現在の好記録連発につなげている。

16年リオデジャネイロ五輪が終わった秋。1年ごとの青写真を描いた。17年は「9秒台」。18年は「9秒9台を安定して出し、9秒8のベスト」。19年は「世界選手権決勝進出」。20年は「安定した9秒8台」。挑戦は続く。