新型コロナウイルスの感染拡大により、国内外のビッグイベント開催に影響が出てきた。3月1日に行われる東京マラソンを主催する財団は17日、今年の大会を一般ランナー抜きで実施すると発表した。

2007年に始まり、今年は約3万8000人が参加予定だった。残り1枠の東京オリンピック(五輪)代表の選考会を兼ね、車いすの部も含めた約200人のエリートの部だけで規模を大幅に縮小して行われる。宮内庁は23日の天皇誕生日に皇居で予定されていた一般参賀を取りやめると発表。人気アイドルグループの嵐は今春予定していた北京公演の開催を断念した。

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国内最大規模のスポーツイベント、東京マラソンも新型コロナウイルスの影響を受けることになった。主催する「東京マラソン財団」は、1月末に対策チームを立ち上げ、対応策を練ってきた。社会情勢や世論も考慮し、17日午前の会議で苦渋の決断を下した。約3万8000人が出場予定だったが、エリート選手としてマラソンで176人、車いすの部で30人、計約200人と大幅に規模が縮小される。

昨年は雨にもかかわらず、約81万人が沿道に集まった。受付や誘導のボランティア約1万1000人も参加見込みだった。出場選手含め、総勢90万人規模で人が連なる形になれば、感染拡大の恐れもあった。同財団の早野忠昭レースディレクターは「タフなディシジョン(決断)ではあるが、こうするしかなかった。まずは安心、安全な大会にするために、我々が取るべき決断だった」と説明した。そして、影響は今後、沿道にも及びそう。同財団の関係者は「テレビやラジオでの観戦を促すことになると思います」と言い、沿道での観戦の自粛を呼び掛ける可能性もあるという。

同財団の発表では、出場予定だったランナーが支払った参加料(日本国内からは1万6200円)は規約に基づき、返金はされない。来年の大会には参加料を支払えば、出場は確約される。今年の一般申し込みの抽選倍率は11・1倍。定員数に大幅増はない予定で、来年の競争率が大幅に上がることは避けられない。

残り1枠の東京五輪男子マラソンの日本代表選考を兼ねたエリート部門は予定通り開催する。早野氏は「各国の選考会も兼ねている。オリンピックの前でもあり、エリートのフィールドは死守した」と話した。今回の判断を受け、開催を見送る他の大会が増える可能性もあり、影響は計り知れない。