成長を続けるベテランスプリンターが存在感を示した。草野誓也(32=アクセル)が10秒30(追い風1・2メートル)で優勝。雨が降り、気温が冷え込む条件のなかで力強く走り抜けた。白石黄良々(セレスポ)らを振り切り、「自信をつかむことができた」。

32歳にして右肩上がりの成長曲線を描いている。昨年には、順大時代に出した自己ベストに並ぶ好タイムを9年ぶりにマーク。今年に入ってさらに記録を伸ばし、8月下旬には自己最高の10秒28をたたき出すと、この日もそれに迫るタイムを計測。「まだまだ成長できると思っている」と笑顔で話す。

今年2月に渡米し、名将テレツ・コーチから指導を受けたことが、躍進の要因のひとつになっている。あのカール・ルイスらを育てた名将から「15メートル先の地面を見るようにしろ。それがお前のポジションだ」とのアドバイスを受け、走行時の姿勢を矯正。「どうすればスムーズに走れるかが見えてきた」と手応えを口にする。

次戦は日本選手権(新潟、10月1日~3日)。「米国で教えてもらったことを、今後も継続していきたい」。伝統の舞台で、さらなる飛躍を期す。