東京オリンピックが閉幕。大会組織委の決断、そして各ボランティア・スタッフの皆様はじめ、医療関係者の皆様方、ご尽力いただいた全ての皆様に感謝したい。
今回のオリンピックで私が一番感銘を受けたことは、メダルの数などではなく、『スポーツマンシップ』だ。
新競技のスポーツクライミング、スケートボード。そこは「ライバルだけど、敵ではない」空気に満ちていた。高いパフォーマンスを見せた時には互いをたたえ合い、時には失敗した選手を励まし、全く悲壮感を感じさせなかった。
男子マラソンで2連覇を果たしたエリウド・キプチョゲ選手(36=ケニア)。彼にとっては余裕の展開だったからかもしれないが、給水の度に周りの選手を気にかけ、同じケニアの選手はもちろん、他国の選手にも「氷いる?」と渡していた。ただ速いだけの選手ではこの行動は出来ないと思う。レースの主導権を握りつつ、他の選手のパフォーマンスもうかがえる強さ。この場に立つことができた全ての選手をたたえる気持ちを持つ、優しく、謙虚な王者だと感じた。
そして、陸上男子400メートルリレー。日本中が大注目する中、想像できないほどのプレッシャーがあっただろう。攻めのバトンパスでミスをし無念の途中棄権となったが、リレーメンバーも周囲も彼らのことは責めなかった。
オリンピックは競い合う事が目的。勝ち負けで景色が変わってくる。だがこのように多くの種目で、順位だけではない、私がスポーツで最も大切にしたい『スポーツマンシップ』そのものを見せてもらった気がする。
ここで、リレーメンバーにまつわるエピソードを披露したい。
私はもともと山県亮太選手の人柄やレーススタイルが好きということもあり、リオ五輪の閉会式の際、一緒に写真を撮っていただいた。
写真をお願いしたところ、「僕なんかとで良いんですか?」と…。
その後も一緒にいたテコンドーの選手に、「スポーツアパレルが同じ会社なので、ひそかに応援してたんです!またイベントで一緒になったらよろしくお願いします!」と話していた。
一瞬の出来事であったが、彼の謙虚さと気配りには驚いた。
同じく当時リレーメンバーであった飯塚翔太選手。閉会式へ移動するバスで私が非常口席に座っていると、「そちらは危ないので…」と席を変わってくれたのだ。彼にとっては当たり前のことかもしれないが、とっさに声をかけることはなかなか出来ないと思う。紳士的な行動に感激した。
思えば彼らはコロナ禍でも自発的に「今、スポーツ選手が出来る事」を考え、発信していた。人間的に魅力的なアスリートだと思う。
メンバーは違っても、日本陸上界は今大会の経験でさらに絆を深め、強くてスポーツマンシップのあるチームになると感じている。
世界的にオリンピック開催に賛否の声が上がっていたこともあり、今大会を通じて各国の選手が「感謝の気持ち」を強く述べている。オリンピックに位置付けられたスポーツのあり方・価値というのは、勝敗のみではなく、「スポーツマンシップ」で世界のアスリートが各種目の良さを引き出し、感動を呼び起こすものだと感じた。
次はパラリンピックだ。
国境を越えた感動のドラマが生まれる予感がしている。
(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)






