スポーツの秋になったが、新型コロナウイルスで今年の日程は大きく狂った。いまだ再開のめどが立たないスポーツもあるようだ。高校は野球の春と夏の甲子園大会中止が、大きな話題となった。インターハイも同様中止となったが、秋の地区大会でようやく動きだした。

アメリカンフットボールは26日に開幕した。春は全試合が中止でほぼ1年ぶりの試合。東京都大会は通常より1カ月遅れで10月4日から。出場するのは17校で都立は2校だけ。昨秋は29校で合同を含め25チームが出場した。各校の方針で部活動が制限され、1年生の入部も減少し、半数近くが出場を断念している。

大会自体も異例の方式となった。17校は4ブロックに分かれてのトーナメントで、3回戦まででベスト4を決定する。準決勝以降は実施せずに、この4校が関東大会の出場権を得る方式となった。

関東では神奈川地区が16校の13チームを2つに分けて2代表、SIC地区(埼玉・茨城・千葉)は新潟・開始国際を加えた14校の11チームで2代表を決める。静岡地区代表を含めた9校が、11月からの関東大会に進出し、組み合わせは抽選で決める。

都大会では異例中の異例と言える特別ルールも設定された。前後半開始と得点後のキックオフが廃止された。いずれも自陣25ヤードからの攻撃となる。練習不足、実戦経験不足は明らか。さらにケガする可能性が高いとも言われるキッキングゲーム。安全面を考えての特別ルールとなった。

オンサイドキックという作戦がある。通常キックオフは敵陣深くへ蹴り込む。これをゴロキックなどで近くへ蹴り、このボールを確保して攻撃権奪取を狙うものだ。残り時間が少ない中、8点差以内ならば同点、逆転の可能性があり、この作戦を選ぶ価値は大きい。

キックオフがないために、この作戦も使えない。代わりにオンサイドキックを宣言すると、自陣25ヤードから第4ダウン残り15ヤードでの攻撃を選択できる。1プレーで15ヤード獲得はなかなか難しい。オンサイドキックでボールを確保するよりも、確率は低いかもしれない。

各地区とも無観客で、会場とキックオフ時間は公表されていない。学校や施設によってグラウンドなどの外部貸し出しができず、辞退校での開催も含まれているという。観戦できない保護者やOBのために、ズームで試合の生中継を計画している高校もある。

異例ずくめとなるが、選手には待ちに待った試合だ。日本一を決める全国高校選手権決勝クリスマスボウルは、12月23日に大阪で予定されている。最後まで無事に開催を願う。【河合香】(日刊スポーツ・コム/スポーツコラム「WeLoveSports」)