菊地絵理香(34)が地元北海道で、今季初優勝を飾った。首位から出て4バーディー、1ボギーの69と3つ伸ばして回り、通算20アンダー、268。19アンダーで2位の三ケ島かなに、1度は並ばれたが、すぐにリードを奪い返して振り切った。

節目のプロ通算400戦目の出場でツアー5勝目。5勝は全て最終日に首位から出たもので、得意の逃げ切り優勝となった。北海道出身選手の地元優勝は、98年東洋水産レディース北海道を制した大場美智恵以来24年ぶり2人目となった。

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一瞬たりとも気を抜かなかった。最終18番パー4、菊地はバーディーパットが20センチ外れると“お先”のパーパットを沈めた。結果的にこれがウイニングパットだったが、菊地はプレーオフを見据え、喜ぶどころか気持ちを高ぶらせていた。直後に1打差2位の三ケ島が、5メートルのバーディーパットを外して優勝。「かなちゃんは入れてくると思って準備していた」。緊張から解放され、表彰式では「北海道の皆さんが応援してくれて幸せだった」と、涙をため、言葉を詰まらせた。

2打リードしてスタートしたが、13番で3日ぶりにボギーをたたき、1度は三ケ島に追いつかれた。だが過去4勝は全て逃げ切り。勝負どころは知っている。直後の14番パー5で6メートルのバーディーパットを決めてバウンスバック。「もうミスできない。隙は絶対に見せない」。ツアー1勝で8歳下の三ケ島を再びリード。最終日は1度も首位から陥落せず振り切った。

常に危機感を力に変えてきた。この日は「朝から緊張しっぱなしだった」という。「残り2、3ホールは手の感覚がなかった」と、緊張を通り越した状態に陥った。同組の小祝とともに、地元優勝を期待する大観衆に囲まれた。自己評価は「プレッシャーに弱いし、勝負強くもない」。開幕前も「今季は本当にシード権が危ない」と、トレーニング量を増やし、34歳の肉体を進化させていた。

今季は今大会まで18試合に出場し、トップ10入り3度はツアー23位だ。ドライバー平均飛距離69位、パーオン率43位、フェアウエーキープ率35位、パーオンホールの平均パット数42位。主要スタッツに上位項目がない中で「今週は2回もイーグルを取って運がある」と、流れを逃さない嗅覚こそが、プロとして400試合も戦い続けた強みだ。

30代で優勝したのは上田桃子に次いで今季日本人2人目だ。「桃子さんが頑張っている姿を見ると、年下の私が弱音を吐いちゃいけない」。今季は北海道で残り2戦。再び地元優勝の期待が高まる。【高田文太】

◆菊地絵理香(きくち・えりか)1988年(昭63)7月13日、北海道苫小牧市生まれ。6歳でゴルフを始め、宮城・東北時代の06年年に全国高校選手権優勝。07年に単年登録でプロ転向、08年プロテスト合格。15年KKT杯バンテリン・レディースでツアー初優勝。今大会は昨年のアース・モンダミン・カップ以来、ツアー通算5勝目。19年12月に、15歳上でプロキャディーの新岡隆三郎氏と結婚。157センチ、52キロ。

◆菊地の生涯獲得賞金 2戦前の資生堂レディースで2位に入り、生涯獲得賞金は史上23人目となる6億円超えを果たした。今大会の優勝賞金2160万円を加え、計6億2393万8136円となり、歴代21位になった。6億円を突破した選手の中で優勝5回は、歴代18位の笠りつ子の6勝に次ぐ少なさ。他の19人は全て通算2ケタ優勝しており、例年、コンスタントに活躍する菊地のプレースタイルを象徴している。

○…菊地と同様、地元北海道での初優勝が期待された小祝は、3位に終わった。18アンダーまで伸ばしたが、菊地との2打差を縮められなかった。それでも18番で8メートルのパットを決めてバーディー締め。「パターで頑張った1週間」と、今季悩んでいたパットでの収穫を強調。「優勝できなかったのは悔しいけど、そんなに悪いゴルフではない。熱中症にならないようにして北海道に帰ってきたい」と、残り2戦ある、地元北海道開催を見据えた。