アイスダンスの村元哉中(かな)、クリス・リード組(木下ク)が、フリー96・63点、合計159・30点で2位に入り、この種目での18年平昌五輪出場枠を獲得した。既にシングル男子3枠、女子2枠を確保する日本は、2大会連続の団体戦出場を確実にした。これによりエース羽生結弦(22=ANA)の2種目出場が可能となった。14年ソチ五輪では団体男子ショートプログラム(SP)で1位の好結果が、個人金メダルにつながった。平昌でも「金ロード」を再現する。

 羽生の五輪連覇へ舞台が整った。日本が、2大会連続となる団体戦出場を確実とした。もし羽生の五輪出場が決まれば、他国と比べやや力の劣るペア、アイスダンスをカバーする得点源として起用されることが考えられる。

 個人種目の前に、団体戦が行われるのは初めて実施された14年ソチ五輪と同じ。前回大会では、個人戦への負担が懸念されたが、逆に羽生は団体での経験を、その後の個人金メダルへとつなげた。

 第1のメリットは、会場と五輪の雰囲気に心身を慣らすことが出来る点だ。ソチ五輪では、団体戦の先陣を切って男子SPに登場。冒頭の4回転トーループを決めるなど、完璧な滑りを披露し1位となった。当時、羽生は「自分にとっては、今の自分がどうだというのが分かった」と発言。緊張感漂う試合で自分のコンディションを確認できた。

 4年前は最大のライバルだったカナダのチャン、幼少期から憧れの選手だったロシアのプルシェンコを抑えての1位。「プラスですね」と、個人戦に向けて自信を深めてもいた。

 団体戦の男子SPは18年2月9日で、フリーは同12日に行われる。男子3枠を持つ日本はSP、フリーで選手交代が可能。羽生が起用される場合、どちらにエントリーするかは直前まで状態を見極めて決定する。仮にSPでの出場となれば16日の個人戦(男子SP)までの期間はソチ五輪と同じ「中6日」。団体、個人と2度のピークをつくるのは難しいが、羽生は前回、団体SPの翌日を完全休養にあてる調整が成功し、個人SPでは世界最高得点をマークした。団体戦の出場は羽生にとっても大きな意味を持つ。【高場泉穂】

 ◆団体戦出場資格とルール 男女シングル、ペア、アイスダンス4種目中3種目以上の出場枠を持つ国と地域で、国際スケート連盟(ISU)の各種目ランキング合計上位10カ国が参加。個人で複数枠を持つチームは予選と決勝で選手交代可能。ショートプログラム(SP)、ショートダンス(SD)で1位から10位まで10~1点が与えられ、4種目合計の上位5チームが、フリーの決勝に進む。予選と決勝の合計得点で順位が決まる。

 ◆14年ソチ五輪フィギュア団体戦日本VTR 日本は男女SPに羽生、浅田の両エースを投入。2月6日の男子SPで羽生が1位と好発進。ペアは8位で日本は4位に付けた。開会式をはさみ、8日の女子SPは浅田がトリプルアクセルで転倒も3位。アイスダンスは8位となり、10チーム中4位で5位以内の決勝に進出。フリーで争う決勝では、8日にペアが5位。翌9日に男子の町田3位、女子の鈴木4位、アイスダンス5位となり、予選との合計で5位だった。