男子66キロ級決勝で阿部一二三(22=日体大)が、今夏の世界選手権覇者の丸山城志郎(26=ミキハウス)を下し、優勝した。

気迫の柔道だった。自ら組み付いて追い込んだ。指導を受けてもひるまず前へ。延長に突入。7分27秒の激闘。世界王者の称号を奪われたライバル丸山得意の内股に、支え釣り込み足を合わせて技ありを奪って制した。

「自分の持ち味は前に出る柔道。(丸山とは)気持ちと気持ちのぶつかり合い。何が何でも絶対に引かないんだという思いで臨んだ」と興奮冷めやらぬ様子で話した。今夏の世界選手権でも敗れるなど、直接対決で3連敗中だった。妹の詩とともに東京で金という目標がある。

「妹の存在も大きかった。妹だけどあっちは(世界選手権)優勝で自分は3位。悔しかった」と原動力にした。丸山の代表決定を阻止し、踏みとどまった。「(丸山と)これから何回も当たる。負けなしで五輪出場を決めて、金を取りたい」と言い切った。

男子日本代表の井上康生監督も「阿部が優勝しても、(代表選考レースは)丸山がリードしている。それは阿部も分かっている。阿部が言うように、全て勝つことが重要」と引き締めた。【南谷竜則】