男子81キロ級は和泉亮汰(新発田2年)が涙の初優勝を決めた。山崎優太(新潟第一1年)との決勝は反則勝ちだった。男女個人戦全10階級を通じて公立校の優勝者は1人だけ。新発田から個人戦覇者誕生は、01年度の女子個人57キロ級以来、18年ぶりの快挙だった。男女各階級の優勝者は3月21、22日に群馬で行われる全国大会に出場する。

畳から下りると和泉はもう、泣きだしていた。昨年の決勝で手にできなかったタイトル。どうしても欲しかった優勝だけに勝ち方は、どんな形でも良かった。開始から21秒には両者に指導が入ったが気迫を前面に押しだした。34秒には再び相手の山崎に指導、2分32秒にも相手に指導が与えられ、反則勝ちで初優勝は転がり込んだ。「気持ちでは絶対、負けない。この大会のために毎日練習してきた」。

年末年始は元日しか練習を休まなかった。12月25日から30日は5泊6日の県外遠征。池裕司監督(45)の日体大時代の同級生が指導する習志野(千葉)、修徳(東京)で練習を積み、4日と5日には福島県の強化練習会に参加した。「大会にかける思いは誰より強い。遠征で最後の追い込みをしてベストの状態で臨めるように準備してきた」。

昨年の同大会決勝で負けて以来、優勝と縁がなかった。6月の県高校総体は8強止まり。11月のBSN杯も2位と、県レベルの大会で優勝経験はなかった。「勝つことの難しさを学んできた」。そう話した和泉は、ようやく勝つ喜びを涙で味わった。

新発田は県内有数の進学校。男子部員は4人と少数で普段の練習は1日1時間半と短い。和泉は「文武両道でやることが大事」と話した。「進学校だから、優勝できない」という声も耳に届いていたが優勝で雑音も吹き飛ばした。強豪校・開志国際の教頭を務める父哲三さん(50=県柔連事務局)が思わず「慌てるな」と声をかけた熱闘を制した。長い手足は懐が深く、得意な内股と大外刈りの切れ味は鋭い。「素早く自分の組み手を作って組んだらすぐに仕掛けることを徹底したい」と和泉は全国へのテーマを話した。【涌井幹雄】

◆和泉亮汰(わいずみ・りょうた)2002年(平14)6月5日生まれ、新潟市秋葉区出身。柔道は父の影響で3歳から始め、初段。新津一中3年時には全国中学大会66キロ級出場。183センチ、80キロ。血液型A。