体重無差別で争う柔道の全日本選手権が29日、東京・日本武道館で3年ぶりに行われる。
昨夏の東京五輪で金メダルを獲得した男子60キロ級の高藤直寿(28=パーク24)がインタビューに応じ、最軽量で挑む4年ぶり2度目の日本一決定戦への覚悟を語った。
73キロ級の大野将平(30=旭化成)も5年ぶり3度目の出場に向けて練習を公開。全47選手のうち1、2番目に軽い2人はともに初戦で90キロ級の選手と対戦する。【取材・構成=木下淳、阿部健吾】
東京五輪で2連覇を遂げた大野は「恐怖心の中にかすかに見える光、醍醐味(だいごみ)を楽しみたい」との境地に達した。拠点の奈良・天理大で公開した練習では、約1時間の乱取りで100キロ級の選手を投げ切る場面も100キロ超級に投げられない受けの強さも披露。畳にぶっ倒れるまで重量級と猛稽古を重ねた。
全日本選抜体重別は減量し終えた後に首や肩を負傷して欠場したが、体重無差別の国内最高舞台で復帰する。初戦の相手は関東王者の前田宗哉(90キロ級)。五輪V2の正統派が「負けに向けて戦いに行くようなもの」と語る難敵だが、決めている。大外刈りが自慢の相手に対し「真っ向勝負で大外刈りを打ちにいく。稽古不足だが、柔よく剛を制すの言葉は私の辞書になかった。軽量級らしく、の気持ちもサラサラない」と。
初出場の14年大会は100キロ級を初戦で破った。17年大会は同じく100キロ級に延長戦で屈した。今回2度目の白星をつかめば斉藤仁さんの次男で優勝候補の立(公称160キロ)と当たる。「先は見ないが、自分の倍。私の大外刈りの技術に100キロを超える体があればな、と想像した日もあるが、望んでも仕方ない。体、心、技術…大野将平が30歳まで培ってきた全てをぶつけたい」と畳に立つ。
東京五輪以来の試合が再び武道館。「運命的」と受け止め「最後になりそうな予感がある」とも言った。「勝ち上がるのは不可能に近いが、誰もが最強を夢見る。真の日本一を決める大会へ、現実にあがき、もがきたい」と信念を込める。
◆軽中量級の挑戦 過去の全日本選手権では64年東京五輪の中量級(当時80キロ以下)金メダリスト岡野功が67、69年大会を制したことがある。92年バルセロナ五輪71キロ級金メダルの古賀稔彦は90年大会で決勝進出も95キロ超級の小川直也に敗れた。94年大会ではバルセロナ78キロ級金の吉田秀彦が準優勝。準決勝で小川に旗判定で勝ち、決勝で金野潤に負けた。近年は立った状態で帯から下をつかむ足取りの禁止など小柄な選手に厳しい条件となっている。予選を勝ち上がるのも難しいが、世界選手権や五輪の優勝者は推薦出場できる。


