日本(世界ランク10位)がラグビー王国を追い詰めた。W杯最多タイ3度の優勝を誇るニュージーランド(NZ)「オールブラックス」(同4位)と4年ぶりに対戦し、31-38と惜敗。通算7戦全敗となったが、国立改築後最多となる観衆6万5188人の前で最終盤には4点差に迫った。
11月12日に23年W杯1次リーグ同組イングランド(同5位)、同20日にはフランス(同2位)と敵地で対戦し、ともに初勝利を目指す。
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快晴だった国立の空は暗くなり、ライトが天然芝を照らしていた。日本代表は顔を上げ、7点差をかみしめた。濃密な80分間。後半39分、1人少ないNZの防御をこじ開け、フランカー姫野がインゴールへなだれ込んだ。「リスペクトはしている。でも恐れることなく『かましたろう』と思った」。残り1分。駆け足で自陣に戻り、最後の攻撃を仕掛けた。1トライで逆転-。願いむなしく反則で相手PGを与えても、観衆は悲鳴の後に拍手をくれた。
諦めなかった。前半33分で3-21と劣勢。それでも円陣を組み、我慢を続けた。4分後、自陣から一気に敵陣へ進み、SO山沢がドリブルからトライ。前半終了間際には左サイドを抜けた味方のパスを受け、SH流が左人さし指を立てながらインゴールに飛び込んだ。あっという間に4点差。追う展開が続く後半も、姫野が自陣ゴール前のボール争奪戦で「ジャッカル」を決めて雄たけびを上げた。
今から27年前、95年W杯南アフリカ大会で主力不在のNZに145失点を喫した。客席からは中身が残った缶ビール、紙コップが飛んだ。この日、相手伝統の試合前の儀式「ハカ」と対峙(たいじ)し、日本は自信なさげな後ろの選手を見る対策を講じるまでに成長した。主将のフッカー坂手は「自分たちのラグビーを積み上げ『勝つ』と思って戦った」と準備に自信を示した。最前線からスクラムやモールで対抗したプロップ稲垣は「7点差だけれど、負けたことが全て。試合を通してリードができなかった」と満足しなかった。
南アフリカから大金星を挙げた15年、過去最高8強入りした19年。2度のW杯で築いた土台に、初の大舞台を目指す先発SO山沢、後半16分にチャージからトライしたロックの20歳ディアンズら新戦力が融合している。それでもSH流は「善戦と言ってくださるけれど勝たないと意味がない。勝たないとテストマッチにならない。7点は重い」と言った。欧州での強豪2連戦へ、姫野は短く誓った。
「勝ちにいきます」
口をそろえる課題はノックオン、小さなほころび、反則…。「7点」からの学びを忘れない。【松本航】


