ノーシードの流通経大柏(千葉)が鮮やかな逆転勝ちで3回戦に進んだ。
前半はBシード尾道(広島)にペースを握られた。FW戦で押され、10-21で折り返した。
後半になると一変。怒濤(どとう)の3トライで豪快にひっくり返した。流れを決定づけたのは後半6分、NO8佐藤椋介(3年)の圧巻トライだった。
左サイドでボールを受けると2人、1人、1人と計4人をはじき飛ばしながらインゴールに飛び込んだ。ゴールと合わせ20-21の1点差。どよめきは収まらず、会場全体の雰囲気も変えてみせた。同9分、WTB西機大河(3年)の逆転トライが決まった。
177センチ、92キロの佐藤はブルドーザーのような強引さだけでなく、スピードも光った。予選ではWTBで起用され、この試合はNO8。1回戦はフランカーだった。まさに走る重戦車は「パワーランが得意なので、自分で全員吹き飛ばしてトライを取り切るつもりでした。一番楽しいプレーです」と胸を張った。
くじけずに前進を続けられるメンタルの強さもある。1回戦の高知中央戦で留学生に厳しいタックルを受けた。「ここで負けるわけにいかない」と負けじ魂に火がついたという。
中学まで陸上100メートルと砲丸投げをラグビーと並行していた。11秒台の俊足と、鉛のような“強肩”が生きたトライシーンだった。「砲丸投げは投げる前に力むと飛ばない。助走で脱力して、投げるところでグッとインパクトを出す。ヒットの部分にも生きています」という解説は説得力を帯びた。
ダイナミックなプレーが次々と生まれたきっかけは、ハーフタイムの声かけにあった。劣勢の展開に、主将のCTB阿部煌生(3年)は「キック、キックになっていて見ている人は面白くないよね。なら、やっている人も面白くない。自分たちはノーシードで、失うものはない。リスク承知で面白いラグビーを展開しよう」と仲間に促した。
相(あい)亮太監督(42)は佐藤のビッグプレーに目を丸くした。「花園に来てからの成長がすごい。フィジカルはチームで一番。大学でも通用するようなキャリーでしたね。見事でした」と絶賛した。
元日の3回戦では同じくシード校の関大北陽(大阪)を下した天理(奈良)と対戦する。佐藤は「目標のベスト8、そして日本一まで進みたい」と腕をぶした。


