日本(世界ランク14位)が、主将不在の一戦で勝ちきった。

チリ(同22位)に42-12で勝利。前半6分に先制トライを許したが、計6トライで地力を示した。先発NO8姫野和樹主将(29=トヨタ)が左ふくらはぎの故障で当日に欠場。不測の事態を一丸で乗り越えた。19年日本大会は過去最高8強。合言葉「One Team」が流行語大賞となった。今回のテーマは「Our Team(私たちのチーム)」。1人に頼らない総合力で8強、大目標の優勝を目指す。

気温30度超えの暑さに、国歌を叫ぶチリの勢いが重なった。前半6分にSOフェルナンデスの先制トライを献上。それでもすぐに敵陣に入り、2分後、SH流を起点にロックのファカタバがインゴールに飛び込んだ。30分にはWTBナイカブラが切り込み、同41分にはモールからファカタバがトライ。得点好機でもPGを狙わず、選手の判断で圧力をかけ続けた。全体の66%で相手陣に居座り、ゲーム主将の流は「(松田)力也が自信を持ってリードしてくれ、ディフェンスは(中村)亮土さんに任せた。みんながリーダーを信用してくれた」と胸を張った。

ピッチには、仲間に情熱を注いできた姫野がいなかった。2日前の発表時点では先発NO8に名を連ねたが、左脚の状態が思わしくなく、当日に欠場が発表された。メンバー外から代表1キャップのサウマキが先発ロックに入り、ロックのコーネルセンをNO8とした。試合前日、プロップ稲垣は「あうんの呼吸が備わっている」と他の選手でのかじ取りに自信を示した。

ラグビー一色だった19年日本大会から4年。コロナ禍の翌20年は欧州勢などがしのぎを削る中、日本代表活動が止まった。実質3年の強化は厳しく、旧ティア1(世界の強豪10チーム)に1勝もできず、W杯前の代表戦も1勝5敗。それでも大会前、SH流が「(19年に)僕らが全勝でベスト8なんて、誰も想像していなかった。僕らは準備ができている。見ていてください」と力強く言い切った。

合言葉は「Our Team」に変わった。「絆」「勇気」「導く」「ボンド(つながり)」…。厳しい状況下で1つになる言葉をつくり、練習場や宿舎などいたる場所に貼られた。フッカー坂手は「新たな選手が入ってきた時、代表はどういうものなのかを残す」と説明する。主将の決定は7月末。そこまでは流、坂手、リーチらが試合で主将を務め、過程から姫野だけに頼らない準備があった。

課題も残る。前半に続き、21-7で入った後半も8分に最初のトライを献上。CTBライリーがシンビンで10分間の一時退場となり、反則、防御のミスで流れを失う場面もあった。ジョセフ・ヘッドコーチは「イングランドに同じことはできない。もう少しタックルを勉強しないといけない」と厳しさも忘れなかった。それでも、勝った。最高の良薬を得て、イングランドに食らい付く。【松本航】

【動画】やっぱり頼れるこの男 勝利をたぐり寄せたリーチ・マイケルのトライ>>