前半で日本の土俵に持ち込め-。
ラグビーW杯フランス大会1次リーグ初戦で白星発進した日本代表(世界ランク14位)は17日(日本時間18日)、ニースで前回準優勝のイングランド(同6位)に挑む。
42-12でチリ(同22位)を破った初戦から一夜明けた11日、現地で戦いを見守った15年W杯日本代表コーチの沢木敬介氏(48)が歴史的勝利への鍵を挙げた。
チリ戦でキック6本を全て決めたSO松田力也(29=埼玉)の復調などを好材料とし、過去10戦全敗の難敵攻略への道筋を明かした。
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難しさがあるW杯初戦の勝利で、日本は吹っ切れたはずだ。SO松田が100%でキックを決め、SH流が的確な判断で試合を進めた。ロックのファカタバを含め、いいプレーは連鎖していく。代表戦1勝5敗でW杯に入ったが、白星は自信につながる。格上のイングランドに対し、ミスを恐れずに戦えると想像する。
次のイングランドは、必ず自分たちのスタイルを貫いてくる。ボーズウィック監督は15年W杯の日本代表コーチとして、一緒に仕事をした。スマートで、彼のラインアウト指導は緻密。現役時代にイングランド代表で活躍し、自国へのプライドもある。フィジカルを押し出し、スクラム、ラインアウト、モールのFW戦、BKのキックで徹底的に圧力をかけてくるだろう。
鍵は前半だ。相手のスタイルと実際の攻防にズレを生じさせたい。「ちょっとおかしいぞ」というズレを次々と重ねれば、迷いが生まれる。19年日本大会で歴史的勝利を挙げたアイルランド戦に似た展開となる。
第1段階はタックルの精度。チリ戦のタックル数は151回で成功率は76%(大会公式サイトより)。ミスを減らして85%以上を目指し、87~90%になれば理想的だ。1人目は前に出るだけでなく、タックルが起こる「コリジョンライン」で勝つ。1人目のタックルが大事で2人目に影響する。次の防御に対して素早く立ち、まずは守ることが大切だ。
防御が機能すれば、第2段階だ。相手はキックを蹴る。そのハイボールの攻防も重要だ。そこで獲得できれば、日本がやりたい攻撃ができる。相手陣に入ればSO松田のキックが好調で得点も見込める。大前提としてFWがスクラム、モール、ラインアウトで互角に戦う。自分たちの土俵に持ち込めば、後半が面白い。
もう1点、注意すべきは相手SOフォードだ。27-10で勝利したアルゼンチンとの初戦では、6PG、3DGで全27得点を稼いだ。レッドカードで数的不利となったが、DGの成功でイングランドに勢いをもたらせた。主導権を握られたアルゼンチンはボールを持ちすぎ、蹴らないといけない場面での判断が狂った。相手陣でDGを狙った場合に、得点するか、外して帰るかで、チーム全体の士気が変わる。DGを決める能力がある彼を自由にさせたくない。私もSOを経験してきたが、相手のプレッシャー次第でキックの精度は変わる。フォードに対して常に圧力をかけ続けることで、キックミスを誘いたい。
中6日での大一番に向けて、限られた準備期間でサポートプレーの意識を高めてほしい。ボール争奪戦への寄りはもちろん、相手防御ラインを突破した後にサポートするコースもしかりだ。少ない好機を仕留めきる精度を高めたい。チリ戦でいいプレーができなかった選手も「自分もいいプレーをしたい」という気持ちになれるチーム状況だと思う。ミスを恐れて小さくなるのではなく、吹っ切れた状態で最高のパフォーマンスを出してほしい。(横浜キヤノンイーグルス監督)
◆沢木敬介(さわき・けいすけ)1975年(昭50)4月12日、秋田・男鹿市生まれ。秋田経法大付(現ノースアジア大明桜)高、日大を経て98年にサントリー(現東京SG)入り。SO、CTBとして活躍。日本代表7キャップ。06年から6年間サントリーでコーチを務め、13年にU20(20歳以下)日本代表監督就任。15年W杯では日本代表コーチングコーディネーター(CC)として南アフリカ戦勝利に貢献。16年にサントリー監督に就任し、16、17年トップリーグ連覇。20年はスーパーラグビー「サンウルブズ」でCCを務め、20年から横浜監督。昨季はチーム過去最高3位。




