日本代表のロコ・ソラーレが英国に3-10で敗れ、日本カーリング史上初の金メダルはならなかった。2018年平昌五輪3位決定戦で勝利した因縁の相手に力負けしたが、誇れる銀で2大会連続のメダル獲得となった。

前回は第10エンドに英国スキップのミュアヘッドの最終投が失投となり、日本が初のメダルを手にした。今回の1次リーグ第7戦では逆に4-10で敗れている。手の内を知る者同士、名手・藤沢五月と名手ミュアヘッドのスキップ合戦が勝敗を分けた。

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序盤から劣勢に立たされた。第1エンド、ミュアヘッドの正確なショットで2点を先制される。1-3で迎えた第5エンド、逆転を狙った後攻で逆に1点をスチールされ、1-4で前半を終えた。チームのショット成功率は日本80%に対し、英国88%だった。

有利な後攻の第6エンド、2点獲得できる反撃のチャンスを迎えたが藤沢の最終投は1点どまり。このエンドが勝負の分かれ目となった。続く第7エンド、勢いづいた英国。ミュアヘッドの最終投は日本の石をはじき出して一挙4得点。2-8となり、実質的に勝負はこの時点で決した。

第8エンドに1点を返したが、第9エンドにも2点を加点されると、ロコ・ソラーレはコンシードを宣言した。ショット成功率は藤沢69%に対し、ミュアヘッドは88%をキープしていた。

リードの吉田夕梨花はチームの思いを代弁した。「このチームでファイナルに上がれたのは、結果以上に誇り。ファイナルは楽しかった」。

ロコ・ソラーレの軌跡はミラクルと言っていい。昨年9月の日本代表決定戦では、ライバル北海道銀行に2連敗スタート。その土俵際から開き直り、3連勝の大逆転で五輪最終予選への切符を手にした。続く12月の五輪最終予選(オランダ)でも1次リーグ最終戦で格下のトルコに敗れる展開。プレーオフで韓国を接戦を制し、またしても瀬戸際からよみがえっての北京切符だった。

そして迎えた五輪でも運が味方した。1次リーグ最終戦でスイスに敗れて5勝4敗。英国、カナダと並び、DSC(ドローショットチャレンジ)の結果、辛くも4位突破となった。敗退したカナダとの差は9・44センチ。わずか10センチ弱が天国と地獄を分けた。セカンド鈴木夕湖は「今世紀最大のサプライズ。あきらめなければ神様が見てるのかな」と歓喜した。

ロコ・ソラーレを語る上で、サード吉田知那美の言葉が的を得ている。「私たちの最大のアドバンテージはたくさんのミス、たくさんの劣勢を経験してきたこと」。多くの失敗を糧にチームを進化させてきた。データを見れば、1次リーグ9試合で、日本のショット成功率は82・3%と全10チーム中1位。準決勝のスイス戦では藤沢らが正確なショットを連発したように、勢いに乗れば強国も手を付けられない。そんな勝利の流れがこの決勝でも期待されたが、堅実で老かいな英国の前に封じ込められた。

敗れはしたが、メンバーの表情にはやり切った満足感がにじんだ。流した涙の数だけ強くなったロコ・ソラーレが、五輪に大きな足跡を残した。

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