「この悔しさはひっそり1人、隠し持っていたい」。

まるで詩人だ。サードの吉田知那美(30)はミックスゾーンで1つ1つの言葉を豊かな表現を持って発した。

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3-10。大敗での銀メダル。それでも悔しさを前面に出したくない理由があった。

記者が「悔しさの割合が大きく占めているように見受けられる」と質問すると、「そうなんですよね…。でも悔しさでこのメダルを否定したくない。北京オリンピックは人生に1度きり。この思い出はうれしい気持ちで、これからの自分に残してあげたい」と説明。そして「うれしいです!」とポジティブな言葉に置き換えた。

初決勝の舞台を「どんなに良質な睡眠を取っても、見られない夢のよう」と表現したり、北京の氷を「かわいいアイス」と表した。「かわいい」についてその心を問うと「私たちが頑張って掃けば(石が)頑張って一緒に伸びるし、曲げようとすれば曲がってくれる。本当に素直で優しいアイス」と、スラスラと説明し、記者団を納得させた。

スピードスケートの小平奈緒(35)も「氷上の詩人」と呼ばれるアスリートの1人。右足の捻挫で思うような結果を得られなかった今大会を「不格好な作品になってしまったが、自分なりに今を乗り越える作品にはなったのかな」と語った。

競技でのパフォーマンスもそうだが言葉の選び方や表現力も、アスリートが社会とつながる上で重要な要素になってくる。【三須一紀】

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