小松原美里(29)尊(30=ティム・コレト)夫妻組(倉敷FSC)が66・54点をマークし、10組中7位で4ポイントを獲得した。

念願の初出場を果たした五輪のリンク。派手なショッキングピンクにレインボー柄をあしらった衣装で、ツイズルやダイアゴナルステップ、ローテーショナルリフトなどをこなした。「(五輪の)ロゴを見てワクワクした」(尊)という“ステージ”でノリノリのディスコナンバーに乗り、夫婦らしく同調し切ったパフォーマンスを見せつけた。

滑り終えると2人は安堵(あんど)の表情。美里が「大きなミスがなく、いいスタートが切れました。このように何回も滑らせてもらえるのは貴重な経験。ベストをどんどん伸ばしていきたい」と言えば、尊は「氷に入る前に緊張が高かった。自分たちのベストを尽くそうと頑張った。今日は1番滑走として頑張れた」と振り返った。

華美な衣装は、羽生結弦らを手掛ける第一人者の伊藤聡美さんに依頼。美里は「五輪シーズンに日本人のカップルで臨むに当たり、ぜひ今季は違う色で。ミラーボールの写真を送ったり(78年発表の使用曲を手掛けた)シルベスターさんにはLGBTフリーなイメージもあるので、レインボーを使ってみました」と、こだわりを込めたコスチュームで舞い踊った。

全日本選手権4連覇。ともに五輪出場経験を持つ村元哉中、同郷岡山県のスターで憧れの存在だった高橋大輔組との熾烈(しれつ)な代表争いを制して、この地に立った。拠点のカナダに原因不明のビザ不給問題で戻れず、米国出身で昨年日本国籍を取得してまで五輪を目指す道を選んだ尊(ティム・コレト)の故郷コロラドスプリングズや、美里が生まれ育った倉敷で練習してきた成果を込めた。

前日3日の公式練習では「RDの衣装を着て、イメトレできました。楽しんでいただきたい」と、いい意味で余裕が出てきた。全く日の当たらない時代からカップル競技の地位向上に心血を注ぎ、今も「一番足を引っ張る立場と自覚して、少しでも上に上がれるようにしたい」(美里)と現実も見えている堅実夫婦。結成6季目、まさに公私とも息ぴったりの演技を夢の舞台で披露した。【木下淳】