羽生結弦(27=ANA)が、男子ショートプログラム(SP)8位から一夜明けて当地で調整した。

大逆転を目指す翌10日のフリーに向けて、いきなりトップギア。開始するや、猛スピードで滑り出して大きく旋回した。続けて、昨年末の全日本選手権では構成に入れていなかった4回転ループ、トリプルアクセル(3回転半)-3回転ループを披露。全日本より難度を上げ、より高い基礎点を取りにいく可能性を示唆した。

直後の「天と地と」曲かけでは、冒頭、世界初成功を目指すクワッドアクセル(4回転半)を跳び、両足着氷だった。3番目のジャンプに3回転半-3回転ループを投入。もともとは3回転半-2回転トーループだったところの難度を上げた。フィニッシュを決めると場内の関係者から拍手を浴びた。

前日のSPはスケート靴のエッジが氷上の穴にはまって、最初の4回転サルコーを跳べなかった。1回転=0点になる不運に見舞われたが、その後はほぼ完璧に立て直し、ジャンプ1本なしにもかかわらず95・15点をマーク。フリーの最終組に入れる6位以内は逃したが、前日は「食らいつきたい」と話しており、1つ前の第3グループからの逆転を諦めていない。

終盤には計5回目のトライとなった4回転半で転倒し、右足を気にするそぶりを見せ、靴紐を結び直す場面もあった。練習後、取材エリアを通過する際には「ありがとうございます。明日、頑張ります」。報道陣から「足は大丈夫ですか?」と声掛けされると。左の拳を突き上げた。そして、再び「ありがとうございます。頑張ります」と頭を下げて会場を後にした。【木下淳】