ドーピング違反が明らかになったロシア・オリンピック委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(15)に14日、個人種目出場可否の裁定が下される。

13日、会場の首都体育館では15日のショートプログラム(SP)滑走順が発表され、ワリエワは午前と午後で計1時間10分練習した。スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定は14日午後の予定で、出場できない場合は金メダル候補が五輪の舞台から姿を消す。

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競技の枠を越えて注目される発表を前にしても、ワリエワは冷静に調整を続けた。午前7時35分から行われた本番会場での練習は、SPの曲をかけた通しで両手を上げてのトリプルアクセル(3回転半)などジャンプ3本をきっちり着氷。日本メディアの前を「グッドモーニング」と笑顔で通り過ぎ、ドーピング違反の騒動後、初めて肉声を発した。午後も4回転からの3連続ジャンプなどを決め、ロシアメディアからは「カミラ、頑張れ!」というエールと拍手が送られた。

その姿とは対照的に、事態は混沌(こんとん)としている。昨年12月に採取された検体から、持久力向上の効果があるとされる禁止薬物トリメタジジンが検出されたと判明したのは、団体戦金メダル獲得後の8日だった。ロシア反ドーピング機関(RUSADA)から即時の暫定資格停止処分を受けながら、ワリエワ側が異議を申し立て、翌9日にRUSADAが処分を解除。それを不服とし、国際オリンピック委員会(IOC)と世界反ドーピング機関(WADA)がCASに提訴した。CASが14日午後に発表する裁定は15日からの個人種目の出場可否に限ったものといい、団体戦の順位は後日となる見通しだ。

WADAには16歳未満の選手を保護対象にする規定があるが、シニア1年目の15歳の実力は折り紙付きだ。今季はSP、フリー、合計の世界最高得点を記録し、合計272・71点は2位と25・12点差。金メダル最有力候補に位置付けられ、団体戦後には「プレッシャーに対応できていると思います。それがある故にさらに頑張れる側面もあります」と好演技を誓っていた。

SP滑走順抽選にはワリエワの名前が含まれ、代理が全選手のくじを引いた結果、最終組2番目の26番滑走となった。出場か、欠場か-。CASの裁定は重要な意味を持つ。【松本航】