フィギュアスケート女子で河辺愛菜(17)が通う京都両洋高は、京都の碁盤の目の西にある。大政奉還が行われた世界遺産の二条城からは1・5キロほど。3学期の始業式があった1月11日、北京五輪での活躍を願う壮行会が同校で開かれた。1年時に「社会と情報」の授業で河辺を受け持っていた青木禎貴教頭(50)は、こう振り返る。

「たくさんの生徒から声をかけられていました。高いレベルで競技に打ち込んでいると、どうしても授業に出られない時間が多いと思うのですが、彼女は違う。すごく学校を気にしていて、友達やクラスの仲間を大切にする。だから、みんなが応援しています」

名古屋から関西に拠点を移し、中学3年で入学相談で訪れた時から「フィギュアと学業を両立したい」という希望を抱いていた。昼間から練習がある日でも、わずかな時間を見つけては登校して授業を受ける。青木教頭は「2~3時間目まで授業に出て、急いでリンクに行くなんてこともあります」という。同校は女子野球部が全国の強豪として活躍。仲間との時間を大事にし、互いに刺激し合っている。

北京五輪開幕を目前に控えた頃。オンラインで行われた授業に、河辺が突然入ってきたという。「五輪に集中したい時期だと思うのですが、それでも彼女は勉強を怠らない。(勉強が)遅れないように、一生懸命やっています。真面目な子です」。コロナ禍のため、在校生や教職員が集まって観戦することはできない。それでも、京都から多くの人が、北京での活躍を祈った。【益子浩一】