初出場の河辺愛菜(17=木下アカデミー)は62・69点を出した。

4番滑走で登場し、冒頭はもちろんトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)。迷いなく跳んだが「ちょっと内に入ってしまった」と真っすぐ入れず、転倒となった。

【フィギュア】女子SPライブ速報

回転不足の判定も取られ「昼の練習は調子が良かったんですけど、直前(6分間練習)に集中できなくなってしまって…」。ほかの選手とコースが重なるなどジャンプを納得いくまで跳べず、ぶつかりそうになって身構える場面もあるなど思い通りにいかない不運があった。

しかし、すぐ立て直して3回転ルッツ-3回転トーループの2連続を決め、最後の3回転フリップも成功させて浜田美栄コーチから「アクセルの失敗だけにとどめたのは成長だね」と褒められた。

得点は自己ベストより10点以上、下回ったが「3回転半をやったことに後悔はないし、ダブルアクセル(2回転半)にするつもりもなかった。フリーでは、しっかりスピードに乗って真っすぐ入れるよう改善したい」と切り替えた。

17歳で迎えた夢の舞台。代表枠を勝ち取った昨年末の全日本選手権より「緊張はなかった。楽しかったりもする。外国の方が盛り上げてくれたり」と、せっかくの空気感を感じ取る余裕はある。「ジャンプに不安があったのは心の弱さ」と自己分析もできている。

成功なら五輪史上5人目の3回転半成功者になるところだった。迷わず挑んだ姿勢は次につながる。失うものがないフリー(17日)へ。舞うは「Miracle」。作詞作曲したX JAPANのYOSHIKIから日刊スポーツを通じて「ミラクルを起こして」とエールを送られた。しっかり受け止めた河辺は「ミラクルを起こして上に行けるように頑張りたい」。沈んでいては、もったいない。【木下淳】