初出場の樋口新葉(21=明大)が、4年に1度の五輪でトリプルアクセル(3回転半)を決めた史上5人目の女子スケーターになった。

【フィギュア】女子SPライブ速報

SP「ユア・ソング」の冒頭、投入すると覚悟を決めていた3回転半に挑戦。美しく着氷し、出来栄え点(GOE)1・71点プラスの成功認定。伊藤みどり、浅田真央、長洲未来(米国)と、今大会の団体戦SPで決めているカミラ・ワリエワ(ROC=ロシア・オリンピック委員会)に肩を並べた。

「アクセルを跳ぶことが目標だったので挑戦できて良かった。(通算5人目、の質問に笑みをこぼし)意識はしてなかったんですけど10位(人目)以内に入れて良かったのかな。とにかくスケートをやってきた中で1つの目標だったので、今後に生きると思います」

夢のステージで挑む覚悟は固めていた。昨年末の全日本選手権、今回の団体戦と着実な結果が求められたSPでは安定感を重視。ダブルアクセル(2回転半)でまとめていた。一方で「五輪(の個人戦)は何も懸かっていないので、挑戦する意味がある」と約1カ月前の公開練習で話していた通り、2日に当地へ入ってからも投入前提のトレーニングを重ねてきた。この日の朝と夕の公式練習でもキレイに降りており、成功に向けて精度も期待も高まっていた。

SPとしては73・51点をマークし、5位につけた。大技を決めた一方で3回転ルッツ-3回転トーループや3回転フリップに小さなミスが出た。「フリップにはアテンション(踏み切り違反の疑いの判定)が付いてしまったし、スピンでもレベルを取りこぼした」。だから演技後はガッツポーズを繰り出さなかったが、夢舞台でチャレンジ成功には大きな価値がある。自信を胸に、同じく冒頭に3回転半を跳ぶ構成のフリー(17日)へ「またアクセルを入れて、最後まで集中して、落ち着いて。でも思い切り演技したい」と勢いを増した。【木下淳】