ドーピング違反となりながらもスポーツ仲裁裁判所(CAS)から個人戦出場を認める裁定が下ったカミラ・ワリエワ(ROC=15)が、82・16点で首位発進した。

冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で着氷が乱れ、自身が持つ世界最高の90・45点からは8・29点低い。ジャンプでミスをしながら、なぜ1位でフリーに進めたのか。

得点の詳細を見ると、3回転半は出来栄え点で2・74点の減点を受け5・26点。世界最高点を出した欧州選手権では11・54点をマークしており、6・28点の差が出ている。

その後のジャンプは成功し、スピン、ステップシークエンスは最高難度のレベル4を集めた。それぞれの要素が高い加点を得ており、技術点の44・51点は1位となっている。

現在の女子は4回転が禁止されているため、3回転半が最も難しいジャンプ。後半にルッツ-トーループの連続3回転など、女子SPでは最高難度の基準がもともと高く、他の要素でジャンプミスを補った形だ。

【フィギュア】女子SP詳細

さらに、表現力を示す演技構成点でも、評価の高さがうかがえた。ジャンプの失敗があれば、5項目(10点満点)で計る演技構成点の点も下がる傾向にあるが、この日の37・65点は全体1位で、欧州選手権の38・72点とは1・07点差。5項目すべて9点台をそろえており、失敗の影響を大きく感じさせなかった。

長い手足の指先、足先まで意識が届くような動き、柔軟性を生かしたスピンなど、ジャンプ以外の表現面でも高い評価を積みあげてきた。失敗しても首位。その事実が飛び抜けた実力を現している。

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