今季ワールドカップ(W杯)ランキング4位でオリンピック(五輪)初出場の杉本幸祐(27)は決勝2回目で75・73点の9位となり、「率直に悔しいという言葉に尽きます」。レース途中にストックが折れるアクシデントもあって3回目に進出できなかったが、「もっとうまく対応できたら、次のスーパーファイナル(決勝3回目)にも残ることができた。道具のせいじゃなくて、自分の力不足」と潔かった。

27歳にして初めてたどり着いた五輪の大舞台。雪の少ない静岡県袋井市出身で、中学1年の夏休みに、モーグルに専念するために長野県へと家族で引っ越した。松本大卒業後は、大手コンビニ「セブンイレブン」に弁当などを納品する食品製造会社の「デイリーはやしや」に入社。同社の温かいサポートを受け、モーグルの腕を磨いてきた。

前回平昌五輪まで3大会連続出場の西伸幸さん(現・神立フュージョンバンプスクール副校長)は杉本について、「もともとポテンシャルは高かった。スキーのテクニックも持っていたが、本番になると、少し抑えて滑ることが多かった」と振り返る。しかし今季はW杯で初めて表彰台に立つなど、成績が大きく向上。西さんは、「最初から最後までアタックしつづける姿勢を持ち続けていることが、好成績の要因」と指摘する。

3日の予選1回目を6位で終えた後に杉本は、「見渡す限りの五輪マークがあって、プレッシャーがないといえばうそになるぐらい。体も固まっていたけど、無事に滑り終えることができた」と納得の表情で語っていた。決勝1回目を終えた時点では、12人中2位に付けていた。大舞台に立てる喜びを胸に、堂々と存在感を示した。【奥岡幹浩】