中国の谷愛凌(米国名アイリーン・グー)が188・25点で金メダルを獲得した。

最終ラウンドで高難度の大技を成功させ、2位テル・ルドゥー(フランス)に競り勝ち、初代女王となった。

現地中継のテレビ局「CCTV」の取材に応じた谷は、「私にとって今日が人生で一番うれしい一日。一番うれしい一秒」と興奮気味に振り返った。

最終ラウンドで決めた大技「ダブルコーク1620(4回転半)」は、とっさの判断での挑戦だったという。「1位になるため、突然、思いついてトライしました。今までは雪の上でやったことがなく、エアークッションで2日ほど練習しただけです」と満面の笑み。「これが最後の決定でした。決めたのは女子選手史上初でしょう。自分のパフォーマンスを通して、世界に才能を見せたいです」と胸を張った。

谷は父が米国人、母が中国人で米カリフォルニア州で育った。8歳の時、北京大学でコーチを務める母の手ほどきで競技を開始。当時から母の母国である中国にたびたび帰国していたため、中国語も流ちょうで、好物は北京ダックや羊のしゃぶしゃぶだという。

「天才少女」の異名を取り、21年世界選手権でハーフパイプとスロープスタイルで優勝し、W杯通算8勝。身長167センチというスタイルから有名なファッションブランドのモデルとしても活動。これまでも、フェンディ、グッチ、ルイ・ヴィトンのモデルに選ばれている。

19年に「中国のほうがホーム」と米国国籍を放棄。米国メディアからは「国籍変更は裏切りだ」と批判の声もあったが、「米国には感謝している」と話していた。

中国でのニックネームは「カエル姫」。幼い頃、練習でかぶっていたカエルの帽子が由来という。国民的なスターとして絶大な人気を誇り、同国の五輪中継ではCMにも引っ張りだこ。オフィシャルグッズのショッピングバッグにも写真が使用されている。

ユニークな性格でも愛されている。母から指摘された一番の欠点が「汚いところ」。いつも布団をたたまないといい、「なんで布団をたたまないといけないのか理解できない。また寝るでしょ?」と笑い飛ばしていた。ちなみに、睡眠は毎日10時間以上取るという。

中国のSNSでも盛り上がりを見せた。「チャンピオンがたたまないなら、なぜ私がたたむのか?」「布団をたたまないところがチャンピンと私の唯一の共通点」と、親しみを込めたコメントが相次いでいた。【勝部晃多】

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