北京冬季オリンピック(五輪)で8日、新種目のビッグエアで初代王者に輝いた米国出身のフリースタイルスキー中国代表、谷愛凌(アイリーン・グー=18)のSNSにファンからの祝福が殺到し、サーバーが一時ダウンする事態となった。

CNNなど米メディアによると、五輪初出場となった谷は最終ラウンドで「1620」という難易度の高い超大技を決めて合計188・25点で金メダルを獲得すると、中国版ツイッター「ウェイボー」にわずか30分間で9万件もの祝福コメントが殺到。検索ワードランキングの上位に浮上し、サーバーが一時的にダウンするほどの注目を集めたというが、フィギュアスケート団体戦では同じ米国生まれの中国代表朱易(ジュ・イー)が転倒して大バッシングを受けており、ネット上での2人を巡る明暗が話題になっている。

モデルとしても活躍する谷は今大会で最も注目集めている選手の1人で、中国では「スノープリンセス」と呼ばれて絶大な人気を誇っている。米国人の父と中国人の母を持ち、中国語も堪能で、学業の面でも名門の米スタンフォード大学にこの秋入学することも決まっており、非の打ちどころがない。

一方、中国から米国に移住した両親のもとに生まれ、2018年に米国籍を放棄して中国代表として今大会で五輪デビューを果たした朱は、団体戦の女子シングルショートプログラムで転倒して最下位になったことでネットが大炎上。谷に対しては「父はハーバード大学、母は北京大学とスタンフォード大学で、祖母はアスリートだった。彼女は美しくて上品」など絶賛するコメントが相次ぐ一方、朱に対しては「恥さらし」など辛辣(しんらつ)なコメントが殺到し、「朱易の転倒」というハッシュタグがついた投稿は2億回以上のアクセス数を記録するなど批判の声がやまない事態になった。

批判は転倒したことにとどまらず、中国語がうまく話せないことを非難する声や「アメリカのスパイ」といった誹謗(ひぼう)中傷も多くあり、ニューズウィーク誌によると少なくとも93のアカウントが停止され、300のポストが削除されたという。(ロサンゼルス=千歳香奈子)