スノーボード女子スロープスタイルで、予選2位通過の村瀬心椛(ここも、17=ムラサキスポーツ)は49・05点の10位に終わった。3本の試技で最後のジャンプの着地に失敗し、得点を伸ばせなかった。今大会では、日本勢の冬季五輪最年少金メダルと女子の最年少メダル記録の更新がかかるが、ビッグエア(14日予選、15日決勝)に持ち越しとなった。岩渕麗楽(20=バートン)は80・03点で5位に入った。

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村瀬は滑り終えた後、申し訳なさそうに両手を合わせた。「今日は3本こけてしまい、やりたい技ができなくて悔しい」。逆転を狙った3回目の試技。それまでの2回と同様に、第5セクションまでは軽快にクリアも、最後のジャンプで三たび着地に失敗した。

自身の代名詞でもあるバックサイドダブルコーク1260を最後にチョイスした。背中側から回転し、斜め軸に縦2回転、横3回転半の大技。決めたら得点を大きく積み上げることができたが、ミスに終わった。

村瀬 いつも通りの滑りをしたらいけると思っていた。これまで練習してやってきたから大丈夫という気持ちで挑んだけれど、最後にスピードの調整ができなかった。2本目は飛びすぎてしまったので、3本目は少し(スピードを)落としたけれど、落としすぎた。

18年5月のXゲーム。初出場ながら13歳の史上最年少で制し、世界に名をとどろかせた。約半年後に米国での練習中に右膝の大けがを負い、1年近く競技から離れた。しかし、苦しいリハビリから復帰すると、W杯本格参戦2シーズン目の今季、スロープスタイルとビッグエアの2種目で優勝を果たし、北京五輪でも注目される存在となった。

17歳の高校2年生。同学年のフリースタイルスキー・モーグル女子の川村あんりより、誕生日は約3週間遅い。この日は持ち越しになったが、冬季五輪では日本女子の最年少メダル記録(10年浅田真央の19歳5カ月)と、男子も含めた最年少金メダル(98年西谷岳文の19歳1カ月)の更新がかかる。

村瀬 今やらなればいけないことをしっかり考えてやれば、結果はついてくる。メダルのことはあまり考えていなかった。

スロープスタイルでは不本意な結果となったが、鬱憤(うっぷん)をビッグエアで晴らす。

村瀬 この悔しさをバネに気を引き締めて次につなげたい。いい成績を残せるように頑張りたい。

残されたチャンスで全力を尽くす。【奥岡幹浩】

◆村瀬心椛(むらせ・ここも)2004年(平16)11月7日、岐阜県生まれ。スノボ好きの両親の影響で4歳から競技を始める。18年平昌五輪は年齢制限で出場できなかった。同年5月のXゲームのビッグエアで13歳6カ月の最年少記録で優勝。18年12月、トッププロが集結する大会デュー・ツアーの米国遠征中に右膝蓋(しつがい)骨を折る大けがを負った。復帰戦の19年8月のXゲームのビッグエアで2位。今季はスロープスタイル、ビッグエア両種目のW杯開幕戦で優勝。妹由徠(ゆら)も将来有望で、21年世界ジュニアのビッグエア優勝、スロープスタイル準優勝。153センチ。ムラサキスポーツ。

◆冬季五輪の最年少メダル メダルの記録は、女子が10年バンクーバー大会銀のフィギュアスケート浅田真央の19歳5カ月。男子は14年ソチ大会銀のスノーボード・ハーフパイプ平野歩夢の15歳2カ月。金メダルの記録は、女子が18年平昌大会のスピードスケート団体追い抜きの佐藤綾乃で21歳2カ月。男子は98年長野大会のショートトラック500メートルの西谷岳文で19歳1カ月。

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