北京オリンピック(五輪)スノーボード男子ハーフパイで金メダルを獲得した平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)は約1年前、卒業研究として自らの滑りを研究した成果を発表していた。

昨年まで日大スポーツ科学部に在籍していた平野が、卒業研究に選んだテーマが「スノーボードハーフパイプ競技におけるオリンピックメダリストを対象とした技能分析」。自身の滑走動画で成功試技と失敗試技を比較し、その要因などを研究した。ゼミで指導にあたった鈴木典(つかさ)教授(64)によれば、海外遠征中などもオンライン会議などを活用して何度もやりとり。完成したプレゼンテーション動画は、「最高の評価だった」と目を細める。

金メダル獲得から一夜明けた平野は12日、その卒業研究について問われ、「普段から技そのものよりも、飛ぶまでの過程をいちばん大事にしてきた」とまず説明。そのうえで、「技だけでなく全体を見てという部分は、小さい頃から今までずっとお父さんと話をしてきている。そういうところにフォーカスを当てながら研究して書いた」と振り返った。

鈴木教授によれば、学生時代の平野はコロナ禍でも学業に取り組む姿勢は変わらず、4年間で単位もしっかり取得したという。同大学でスキー部の部長も務める鈴木教授は平野について、「基本的には物静かで無口。でも会話をすると、トレーニングでも日常生活においても、自らを律することに関して哲学を持っているなと感心することが多かった」と振り返った。【奥岡幹浩】