<競輪選手 小嶋 敬二(48)>

 実家がスポーツ店なので、自転車競技を始めた高校生ぐらいから「五輪に出ることが一番の親孝行」と思っていました。年々その気持ちが強くなって「出たい」→「すごく出たい」→「出るからにはいい記録を出したい」となっていきましたね。だから1キロタイムトライアル(TT=10位)とスプリント(敗者復活戦敗退)で92年バルセロナ大会に出られた時は本当にうれしかった。メダルには届かなかったけど、両親を現地に呼べたし、人生が変わりましたよ。

 五輪に出た後、プロの競輪選手として多くのビッグレースなど、通算で700勝以上させてもらっています。48歳になった今でもトップクラスのS級1班にいるし、しかも、自分で風圧を受ける「自力」というスタイルで走れているのは僕の誇り。アマチュア時代に五輪や世界選手権を目指して本当に苦しい練習をしてきたことが、今に生きているのかなと思います。

 東京五輪にはもちろん注目しています。ブノワ・ヘッドコーチは中国女子を世界一にした人だし、その他のスタッフも素晴らしい。選手の層も厚くなって、短期登録選手として競輪に出走してくる外国のトップ選手とも遜色ない走りをしています。少なくとも短中距離ではメダルのチャンスゼロという種目はない。ガールズケイリンができて女子のレベルも格段に上がっているし、今回は男女とも、狙ってメダルが取れる選手がそろっています。

 今は、僕らのころにはなかったベロドローム(静岡県伊豆市にある国際規格を満たす1周250メートルの屋内木製走路)もあるし、当然、ホームアドバンテージもある。メダル獲得に向けて、言い訳できない環境がそろっています。万一、メダルを取れないようだと、競輪を含めた自転車競技全体に、今後、半世紀ぐらい響くと思う。逆に言えば、メダルを取ればメディアに取り上げてもらう頻度も劇的に増え、業界の今後が大きく変わる。プレッシャーをかけるわけではないけど、何が何でも取ってもらいたいと思っています

(2018年2月28日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。