【パリ=木下淳】2021年東京五輪金メダルの日本が、死闘の末に初の五輪2連覇を逃した。世界ランキング3位で迎え、同5位のハンガリーと対戦。25-26で敗れた。それでも、世界で最も層が厚い種目での2大会連続ファイナリストに、個人金メダルのエース加納虹輝(26=JAL)は「やれることはやった。団体は4人で喜びも4倍」と全員で分かち合った。
中盤までリードされ続けたが、第9ゲームに個人金メダルのエース加納虹輝(26=JAL)が獅子奮迅の活躍。18-20から25-25に追いつき、次のポイントを取った方が金メダルとなる延長戦「一本勝負」に持ち込んだ。最後こそ力尽きたが、胸を張れる結果だ。
ディフェンディング・チャンピオンかつ個人の五輪王者を擁す日本「エペジーーン」は、準決勝でチェコに45-37で快勝し、まずは決勝進出で2大会連続の銀メダル以上を確定させていた。28日(日本時間29日)に日本の「個人初」となる金メダルを獲得していた加納が得点を量産し、古俣聖(本間組)とアンカー山田優(山一商事)が躍動。リザーブに回った見延和靖(ネクサス)で“四位一体”となって戦った。自国開催の3年前に続く頂点には、わずかに届かなかったものの、山田は「最初に来る気持ちは『悔しい』なんですけど、その前に『うれしい』もあって。それも含めて通して楽しかったな」。リザーブから昇格の古俣は「最後、ギリギリのところで金メダルに届かなくて、ちょっと悔しい思いもあるんですけど、自分自身、初めてのオリンピックで銀メダルを取ることができて、とてもうれしいです」と振り返った。
3大会連続の見延もチームを支え「4人のメダルというか、コーチもいて、スパーリングパートナーも来ていて、さらには日本にも残してきた『エペジーーン』の仲間たちがいるので。全員で取ったメダル」とチームを代表して感謝。金銀メダルをダブル獲得の加納も「今回は銀になってしまいましたけど、実力は確実に上がってるなとは思ってます。自力(前回東京は開催国枠)で出場することができたのも初めてですし、前回は多少、ラッキーな部分もあっての金メダル。今回は実力で出場して、実力で決勝まで上り詰めることができた」と胸を張った。
日本は、初戦の準々決勝でベネズエラに39-33で勝利。チェコも振り切った。決勝の相手となったハンガリーは、準決勝で世界ランク1位の開催国フランスを45-30で下した強豪。中盤までリードを許したが、第7ゲームに、補欠から昇格した古俣が大活躍。15-15に追いついた。山田も第8ゲームで17-17とし、最終ゲームで加納が25-25としたが、最後のポイントを相手に奪われた。
それでも功績は色あせない。レジェンド太田雄貴氏は「今や日本は(メダル)常連国」と称賛しており、青木雄介監督も「史上最強」を自負。前日に、女子フルーレ団体も銅メダルを獲得し、日本初の「1大会複数」を達成していた。
この日は決勝で敗れたものの、早くも今大会3つ目のメダル獲得。フェンシング競技に日本が初参加したのは1952年(昭27)のヘルシンキ大会で、以来72年間、パリ五輪の前まで計3つだったメダル数に、わずか1大会で並んだ。
これまでは男子フルーレ個人の太田雄貴が08年北京五輪で銀、同団体が12年ロンドン五輪で銀、男子エペ団体が21年東京五輪で金、そして今大会の個人で加納が金。前日は「女子初」の銅メダルをつかんだ。
まさに「黄金時代」。見延も「全種目でメダルを狙える。これは東京オリンピックに向けて強化してきた成果だと思いますし、この状況に、あぐらをかくわけではなく、この結果を見てフェンシングを始めてくれる子たちが少しでも増えてくれることを願います」。それだけのことを成し遂げた。
◆エペ 足の裏まで含む全身が有効面。攻撃の優先権という規定がないため先に突いた方に点が入る。体のどこに剣先が当たっても有効となるため、高身長で腕のリーチの長い選手が有利。他にフルーレ、サーブルの計3種目がある。団体は1チーム3人(リザーブ1)で1試合3分間の総当たり9ゲーム制。45点を先取するか、終了時に得点の多いチームの勝利となる。



